那覇市金城で建設工事が進められている旧大嶺集落の歴史を伝える複合施設「ともかぜ振興会館」が、今夏にも開館する。3月28日には集落にゆかりのある人たちが集い、「故郷があったことを忘れないでほしい」と大嶺海岸で拾ったサンゴのかけらを工事現場に埋めた。(デジタル部・比嘉桃乃)

サンゴのかけらを埋める参加者=3月28日、那覇市金城

今年8月に開館予定のともかぜ振興会館

サンゴのかけらを埋める参加者=3月28日、那覇市金城 今年8月に開館予定のともかぜ振興会館

 那覇空港敷地内にあった旧大嶺集落は、戦前、日本軍に民間地が強制接収され、飛行場が建設された。戦後は米軍が利用し、本土復帰後に国有地となった。

 サンゴを埋めたスペースはサバニがあった船揚げ場をイメージしている。旧大嶺集落の人たちにとって海は生活の場でもあった。開館に向けて尽力してきたともかぜ振興会の金城栄一会長(78)は「会館の完成で戦後処理が終わったということではない。会館を通して先人が生きてきた証やどうして故郷を追われなければならなかったのかを伝えたい」と力を込めた。

 戦後から75年。大嶺で過ごした記憶を持つ人たちも年々減っている。旧大嶺集落出身の上原清英さんは昨年11月に88歳でこの世を去った。娘の通子さん(57)は「父が生前『大嶺の浜は真っ白でとてもきれいなところだった』と話しているのをよく覚えている。会館の完成を心待ちにしていると思う」と話す。清英さんの孫キヨラさん(9)は「おじいちゃんはよく大嶺のことを歌っていた。おじいちゃんの分もサンゴ埋めに来たよ」と笑顔で話した。

 会館は地域の人が気軽に利用してもらえるようブックカフェやホールなど文化・芸能の継承や健康維持を目的とした機能を構える。館長に就任する上原謙さん(71)は「地域の人たちみんなに親しまれる施設になってほしい。市民全体に還元していければ」と利用を呼び掛けた。