大学生時代、クラフトビールに一口で引き込まれ、そのままビール醸造家になった女性がいる。チャタンハーバーブルワリー&レストラン(北谷町美浜)の眞境名しのぶさん(45)=糸満市出身。犬や猫はもちろん、トカゲ、クワガタ、セミまで飼っていたという生物好きで、今一緒にいるビール酵母を「いい味と香りを出してくれるように、いじめたり、おだてたりしています」と笑う。(中部報道部・平島夏実)

「醸造家仲間とのビールトークは一晩中尽きない」と話す眞境名しのぶさん=1日、北谷町美浜のチャタンハーバーブルワリー&レストラン

 クラフトビア・アソシエーション(日本地ビール協会)沖縄事務局によると、眞境名さんは沖縄で唯一の女性ビール醸造家。チャタンハーバーブルワリーを2016年のオープン当初から支えている。

 琉大農学部で学んでいた21歳の時、アルバイト先のレストランでクラフトビールを知った。レストランは、1996年に県内で初めてクラフトビールの製造を始めたヘリオス酒造の施設。かんきつとバナナが香るバイツェン(ドイツの小麦ビール)に「こんなビールがあるなんて」と感動した。

 そのままビール醸造家の道に進み、150種以上あるクラフトビールの世界に入った。眞境名さんはこれまで、定番はもちろん、ハイビスカス、月桃、ウコン&レモングラス、パッションフルーツなど、沖縄の旬の素材を生かした限定ビールも手掛けてきた。

 ビールを飲み歩く「ビール旅」で沖縄まで来るお客さんもいるため、今後も独自性を出していきたいと話す。アーサを使ったビールは「海の微生物に悪さをされちゃって失敗」と振り返るが、もろみ酢はうまくいきそうだと踏んでいる。

 眞境名さんが普段使うビール酵母は約10種類。発酵に適した温度帯がそれぞれ違う。さらに、発酵を終えた後に仲良く固まる種類があれば、バラバラで液中に漂う「自由人気質」の種類も。それぞれの性格を見抜いた上で温度や酸素量を調整するのが仕事だ。

 家に帰れば、やんちゃな元琳(げんり)さん(9)と元珠(げんじゅ)さん(7)のお母さん。2人は、酵母と違い、目を離した隙にどこかへ行ってしまうため、眞境名さんは「早く止めないと大変なことになります」と苦笑いする。「そういう意味では、酵母の方がかわいいのかも」。ブクブクと発酵する酵母の声に、耳を澄ませる。

 チャタンハーバーブルワリー&レストランは年中無休。営業時間は午後5時~午前0時。問い合わせは、電話098(926)1118。