「四月」と題した春薫る詩に出会った。〈新しい制服 新しい学校 新しい出会い こい緑の山がぼくに「がんばれ」って言ってる〉。作者は今帰仁中3年で、知的障がいのある具志堅興托(きょうた)さん(14)

▼兼次小2年の頃から、学校での出来事や四季の移ろいを素朴な言葉で紡いできた。学習支援員の宮城すま子さん(46)は視点の面白さに感動した。「気付いたことがぽんっと言葉に出てくるんです」

▼作品は学校玄関のボードに掲げられ、児童や来訪者を温かく迎え入れてきた。中2までに書きためた詩をまとめたいとの宮城さんの提案に、同級生や保護者らが協力し、今年3月に詩集が完成した。地域の支援が詰まった一冊に「住んでいる今泊の人に見てほしい」と興托さん

▼小学校の卒業式直前に病気で亡くなった母に宛てた「お母さん」。入院中の母を毎週末に見舞い、みとった後に〈今も上からぼくを守ってる〉と記した。父の興也さん(47)は書くことで前を向く息子に「力をもらっている」と語る

▼コロナ禍で県内の大半の小中高校・特別支援学校で始業が延期となった。制服に袖を通せない異例の春だからこそ、日常の小さな営みや家族との語らいをつづる言葉が染み入る

▼冒頭の詩は〈やるしかない やってみせる ぼくは心にちかった〉と結ぶ。困難が続く今にも通じるようだ。(大門雅子)