沖縄戦で住民の避難場所となり、戦後は平和学習に活用されてきた沖縄県糸満市山城にある県管理のガマ「マヤーアブ」が、崩落の危険性があるとして閉鎖されていることが6日、分かった。保存には多額の費用がかかり、技術的にも難しいため県は補強工事はせず、現地の案内板や内部の様子が分かる画像などの整備を進める方針だ。

マヤーアブの閉鎖に伴い設置されたフェンスと案内板(県提供)

 県は崩落の危険性を確認し、2018年4月に閉鎖した。有識者や技術者でつくる検討委員会で議論した結果、補強工事は景観を大きく変え、平和学習の目的を果たせないとの意見もあり、保存と活用を断念した。

 県は立ち入りできないようフェンスを設置し、今年3月、入り口に案内板を整備した。今後、掲示したQRコードから内部の画像を見られるようにする。

 マヤーアブは奥行き約30メートル、幅最大17メートル、深さ最大20メートル。沖縄戦では山城地区の住民の避難場所となったが、日本軍に追い出されて犠牲になった住民もいる。戦後、遺骨や遺留品が多く見つかり、戦争の記憶を伝える平和学習の場として活用されてきた。

 戦争遺跡に詳しい吉浜忍沖縄国際大学元教授は「戦争体験者が減る中、市町村の多くは戦跡を文化財指定しており、県が閉鎖するのは疑問。安全性を考えた上でどう公開するかを再考してほしい」と指摘した。

 仲門保区長(70)は「たくさんの命を守ったガマでもあり、命乞いをしたガマでもある。沖縄戦を語る上で重要な場所なのに閉鎖と言われ、やりきれない思いだ」と声を落とした。