沖縄県名護市のナングスク(名護城)の桜から剪定(せんてい)した枝などの廃材が、酒器やブランデーなど新たな商品に生まれ変わる取り組みが始まっている。きっかけを作った小野雅春さん(59)は「捨てられる物が、別の形になって魅力を発揮している」と手応えを話している。

ナングスクの桜の廃材から生まれた酒器(右)とブランデー「NAGOGUSUKU SAKUA」

桜の廃材から酒器を制作した渡慶次弘幸さん(左)と、桜の樹皮を用いたブランデーを保管する崎浜商店の崎浜秀太さん=3月25日、名護市・沖縄タイムス社北部支社

ナングスクの桜の廃材から生まれた酒器(右)とブランデー「NAGOGUSUKU SAKUA」 桜の廃材から酒器を制作した渡慶次弘幸さん(左)と、桜の樹皮を用いたブランデーを保管する崎浜商店の崎浜秀太さん=3月25日、名護市・沖縄タイムス社北部支社

 2019年3月、市商工観光局長(当時)だった小野さんが、毎春に剪定や伐採が行われていたナングスクの桜に着目。「もったいない。利用できないか」と考え、市内の木工職人・渡慶次弘幸さん(39)に相談したのが始まりだ。

 渡慶次さんが桜の割れを防ぐため樹皮を剝ぎ水に漬けたところ、樹皮に桜の香りが強く残っており驚いたという。「この香りを生かせないか」と考え、7月に果樹や植物を原料に蒸留酒を造る「mitosaya薬草園蒸留所」(千葉県)に樹皮を託した。

 同蒸留所も興味を示し、12月には「NAGOGUSUKU SAKURA」が誕生した。原材料にさくらんぼとソメイヨシノの花、ナングスクの桜の樹皮、ライススピリッツを用いたブランデーで、アルコール度数42%。試飲した渡慶次さんは「香りが深まる、しぶめのお酒」と話す。 ブランデー誕生を受け、渡慶次さんは本格的に酒器制作に挑戦。酒器は香りを楽しめるように上に向かって口をすぼめ、漆は塗らなかった。今年も廃材をもらい、「箸や皿も作りたい。割れた部分も無駄にせず、つまようじを作ろう」と積極的に取り組む。

 ブランデーは既に完売で、市大南の崎浜商店が3本保管している。同商店の崎浜秀太取締役(35)は「『地元で飲んでほしい』と譲られたお酒。多くの人が飲む機会をつくりたい」と話した。小野さんは「市内の酒造所や企業から、今後も挑戦する流れが生まれてほしい」と期待した。