10種類のスパイスと、1皿に1キロ分を使うというタマネギのうま味が凝縮したカレーが自慢だ。薬剤師の父親と栄養士の母親が薬膳の研究をしているため、店主の久場美咲さん(38)は「体に良いスパイスをおいしく取れる方法を考えた結果、カレーにたどり着いた」と話す。10年前、父親の友人のインド人から本格的な作り方を教わり、スパイス調合の基本を学んだ。

 以降、インドからスパイスを取り寄せ、趣味でカレーを作り、家族や友人に振る舞って腕を上げた。昨年9月、姉の平安山香緒里さん(39)が経営する居酒屋の場所を借りて、昼間にカレーの提供を開始。今では口コミで評判が広がり、サラリーマンや主婦らでにぎわっている。

 店内では姉の香緒里さんの人懐こい接客で常連客との会話が弾む。深酒した次の日は肝機能を高めるウコンを多く使ったスリランカカレー(880円)を、疲れた時には血液の循環を良くする作用のあるホウレンソウと豆乳のグリーンカレー(980円)をと、体調に合ったメニューを勧める。ベジタリアンの人でも食べられるようにと、昆布でだしを取ったインド豆カレー(880円)もある。カレーはセットでサラダとドリンクが付きお得だ。

 「医食同源」に関心のある客のために、体に合ったメニューを提供する薬膳ランチプレート(1500円)も用意している。事前予約制で1週間前に必要項目を記入して来店すれば、その人に合ったスパイスを使ったオリジナル料理が食べられる。

 店舗名の「羅針盤」は「健康な食生活の指針になれば」との思いから付けた。姉の香緒里さんは「スパイスを身近に感じ健康的な食生活につながれば」と期待する。(中部報道部・仲田佳史)