社説

社説[来県自粛要請]補償と一体で打ち出せ

2020年4月9日 07:22

 玉城デニー知事は、国の緊急事態宣言が発令されている間、県外からの来県自粛と県民の外出自粛を要請した。

 観光立県沖縄にとって、来県自粛は苦渋に満ちた決断である。リーディング産業の観光が沖縄経済に及ぼす影響が大きいからだ。しかし感染拡大を食い止め、県民の命と健康を守るためにはやむを得ない措置だ。

 県の専門家会議からも提言されており、感染拡大防止に向けて重大な局面を迎えた。

 自粛を実効あらしめるためには進学で来る学生に2週間待機できる宿泊施設の提供やあっせんをしてもらいたい。

 転勤して来る会社員にも自宅にとどまるよう要請するパンフレットを空港で手渡す必要があろう。差別の対象にならないような発信も重要だ。

 来県自粛を要請した背景には新型コロナウイルスの感染者が急増するのに伴い、本土からの「移入例」が多く確認されていることがある。

 会見で玉城知事は、国の専門家会議が定める「感染確認地域」から「感染拡大警戒地域」に移行しているとの見方を示した。警戒地域は直近1週間の新規感染者数や経路をたどれない感染者数が1週間前と比べ大幅に増加している地域のことである。沖縄の傾向と一致している。

 八重山、宮古も自粛要請し、帰省者の来島自粛も求めている。大都市と直行便が就航しており、「移入」が懸念されるからだ。感染症指定医療機関のベッドは各3床しかない。感染が発生すれば「医療崩壊」を招きかねない。

■    ■

 新型コロナの影響で2月から5月の入域観光客は前年同期と比べ半減すると県は試算している。

 観光収入は1166億8千万円の損失、1万9402人の雇用が失われる可能性があるという。

 国際通りの総合免税店や、周辺で展開するドラッグストアの閉店・休業が相次いでいる。観光バス会社が従業員約40人を一時的に解雇し、貸し切りバス会社は自宅待機させている。旅行代理店も社員の計画的休業をしている。

 観光関連産業は宿泊、飲食、旅行、レジャー娯楽、土産品、小売りなど多岐にわたるだけに、沖縄経済に与える打撃は大きい。

 県の緊急対策は国の緊急対策が及ばないところを補完、強化するとの位置付けだ。県独自の対策は2020年度の予備費10億円、県の貯金に当たる財政調整基金30億円の計40億円にとどまりそうだ。

■    ■

 県は中小企業の家賃補助や社員の休業で拡充された国の雇用調整助成金に県が上乗せしていく。これで難局を乗り切れるか。支援が手薄ではないかとの懸念が拭えない。

 国の20年度補正予算案が成立しておらず、新型コロナに対応する「地方創生臨時交付金」(1兆円)で、県の配分額が決まっていないことも支援策に影響している。

 県は新型コロナの拡大を止め、沖縄経済に与える影響を最小限にとどめなければならない。二つを同時に進めるには切れ目なく経済対策を続ける必要がある。この1カ月間の取り組みが極めて重要だ。

連載・コラム
きょうのお天気