1枚の絵画との出合いがもたらす人生の悲喜こもごもが描かれる。テレビでも審美眼を持つと自慢する諸氏が登場する番組が人気だ。そこで知るのは本物を見極めるのは至難の業らしいということか。

ラスト・ディール 美術商と名前を失くした肖像

 フィンランドで暮す年老いた美術商のオラヴィも人生の最後にもう一度だけ、名画に携わりたいともがいている。家族も顧みず仕事だけに情熱を注いできた。結果、一人娘とも疎遠のまま。その娘から孫の職場研修を受け入れてほしいと頼まれた頃、オラヴィは一枚の無記名の肖像画と出合ってしまう。

 署名のない肖像画をめぐる探索は謎解きの要素をはらみ一緒にハラハラする。孫と美術館巡りをしながらの仕事指南も聞き入ってしまうが、オラヴィの生き方そのものが一枚の絵のようで淡い光を纏(まと)い魅(み)せられる。

(スターシアターズ・榮慶子)

 ◇プラザハウスで上映中