「あれが爆発したら、全員殉職だ…」。2004年、沖縄国際大の米軍ヘリ墜落事故。宜野湾市消防の隊員が1年後、当日の心境を本紙に吐露している。燃えさかる機体に、おそろしいものが見えた

▼「頼む。あの燃料タンクは爆発しないでくれ」。祈りながら放水した。放射性物質が含まれていると知らされず、防護服なしの作業。被ばくの恐怖にもさいなまれた

▼米軍事故の被害を受けた自治体の消防が、命の危険にさらされながら事後処理する。主権国家と思えぬ倒錯が、また繰り返された。普天間飛行場から民間地へ、大量の泡消火剤が漏れた

▼発がん性のある有機フッ素化合物PFOS(ピーホス)を含んでいる。翌11日、現場に来た米軍幹部は「何かできることはありますか」と人ごとを決めこみ、立ち去った。基地内の処理を優先したそうだ

▼結局、市消防が奔走した。ピーホス対策の特別な装備はない。当事者の米軍、基地の提供責任がある日本政府が事故直後に対処せず、被害を受けた市の職員が身の危険を賭して後始末する。あまりにも理不尽だ

▼河野太郎防衛相は「汚染責任はあなた方にある」と米軍に抗議するのが筋だろう。米軍は泡消火剤を切り替えると言うが、大量の在庫があった。約14万リットルも民間地に漏れた。再発のおそれはぬぐえず、取り決めが必要だ。「除去は汚染責任者が担う」と。(吉田央)