清貧ぶりが世界で話題を呼んだウルグアイ元大統領、ホセ・ムヒカの素顔をカメラが追った。先入観や基礎知識を持たず、片肘張らずに鑑賞することがおすすめのドキュメンタリー。含蓄ある言葉を心に留めたい。

「世界でいちばん貧しい大統領 愛と闘争の男、ホセ・ムヒカ」

 大統領在任中は社会福祉に資産を注ぎ、公務の間にトラクターを駆って農業に取り組む一庶民を貫いた。一方で、1960年代には極左ゲリラとして権力と闘った「元闘士」の側面を持つ。

 もじゃもじゃの髪の毛に洗いざらしのシャツは一見、普通のおじさん。時に優しく、鋭い眼光で放つ言葉は「好事より苦痛や逆境から多くを学ぶ」「文化が変わらなければ変化はない」「自分を超える人材を残す」と尽きない。

 言葉の数々は過酷な経験を経て肌で感じた権威や権力主義への懐疑、消費社会への警鐘にあふれている。国境や信条を超えて胸に迫ってくる。(学芸部・天久仁)

 ◇パレットで上映中