大弦小弦

[大弦小弦]格差のつけ

2020年4月19日 08:30

 名護市で5年以上続く子ども食堂がある。家庭の養育力が弱く、例えば入浴の習慣が身に付いていなかったり、食事らしい食事が子ども食堂や給食だけだったりという15人ほどが、週1回市内に集う

▼ボランティアで運営している神谷康弘さん(47)の願いは、こうした境遇の子たちが1人でも減っていくこと。活動が対症療法にとどまっていないか葛藤がある。研究者と連携し、根本的な改善を探れないか、つてをたどって声を掛けているが、経費の壁が立ちはだかっている

▼企業の寄付やホテルの食事提供はありがたい。ただ、人手には限界も。そこにコロナ禍が追い打ちをかけた。感染拡大で会場の公共施設は休館に。子どもたちには弁当を持ち帰らせるだけになった

▼日頃ならバドミントンをしたり、トランプをしたり。「まっすぐ帰りなよ」と神谷さんが子どもたちの後ろ姿を見送るが、その行く先に安心があるかは分からない

▼子どもの貧困が深刻化するこの国で「経済状況の差をここまで広げた政策のつけは、こういう危機の時代に回ってくる」(岩波新書編集部のウェブサイト、藤原辰史・京都大准教授「パンデミックを生きる指針」)

▼禍(わざわい)はより弱い立場の人から追い込んでいく。突きつけられているのは、そんな私たちの社会のもろさなのかもしれない。(粟国雄一郎)

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