タイムス×クロス 木村草太の憲法の新手

[木村草太の憲法の新手](126)検察官定年延長の法改正 解釈変更は条文上不可能

2020年4月19日 15:00

 新型コロナウイルスの感染が拡大する中、政府対応の遅れを憲法に責任転嫁する言説が目に付くが、それについては、次回詳しく論じる。

 喫緊で注視すべきは、緊急時の混乱に乗じた、不当な立法や政府の権限乱用だ。中でも、検察官の定年を延長する検察庁法改正が気にかかる。検察官の定年と言えば、政府は今年1月31日、国家公務員法の規定に基づき、東京高検の黒川弘務検事長の定年延長の閣議決定をした。この決定には、三つの致命的な問題があった。

 第一に、政府はこれまで、同法の定年延長規定は検察官に適用されないと解釈してきたこと。黒川氏の定年を延長するには、法解釈変更の手続きが必要になったが、森法相は、それを「口頭で決裁した」と説明した。重大な解釈変更の手続きとしてあまりに杜撰(ずさん)だ。

 第二に、政府が、黒川氏の定年を延長しなければならない理由をほとんど挙げていないこと。

 第三に、国家公務員法の定年延長規定には、同法に基づき定年退職する国家公務員に適用されると書かれており、検察庁法に基づき退職する検察官に適用できると解釈するのは無理があること。

 つまり、第一で指摘した法解釈変更の手続きを丁寧にしたところで、条文の文言上、解釈変更は不可能だ。

 

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