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沖縄県民の台所「第一牧志公設市場」 難工事に挑んだ設計者が込めた思いとは・・・

2020年4月19日 13:30

 建て替えのため昨年6月に閉所した那覇市松尾の旧第一牧志公設市場。市場を所有する那覇市は昨年11月から解体工事に取りかかっている。旧市場の設計を手掛けたのは沖縄の代表的な建築物を数多く手がけてきた宮平久米男さん(1925~2002年、享年76)。旧市場が建つ場所はもともと湿地帯で軟弱地盤。付近はそばを通るガーブ川が氾濫するたびに浸水したという。宮平さんは「強い雨風でも商売ができるよう安全な建物にしたい」と考え、柱にこだわるなど「当時の技術では考えられない難工事」に挑んだ。(デジタル部・比嘉桃乃)

解体が進む旧第一牧志公設市場

旧第一牧志公設市場の柱=2019年7月撮影

旧第一牧志公設市場を設計した故宮平久米男さん(提供)

宮平さんが作成した設計図(提供)

解体が進む旧第一牧志公設市場 旧第一牧志公設市場の柱=2019年7月撮影 旧第一牧志公設市場を設計した故宮平久米男さん(提供) 宮平さんが作成した設計図(提供)

 宮平さんは座間味村出身。日本大学で建築を学んだ。1級建築士の資格を持ち、那覇市の建築課長を務めた後、57年に宮平建築設計事務所を立ち上げた。旧那覇市庁舎や沖映本館、ガーブ川の改修工事、国際通りの拡張工事などに取り組み、那覇の現在の街並みの基盤をつくった。

 木造平屋から旧市場への建て替えが動きだしたのは60年代前半。宮平さんは設計を手掛け、70年6月に模型を完成させる。当時は食料品を扱う「西市場」、雑貨・衣料品を扱う「東市場」と呼び、設計図には「那覇西公設市場新築工事」と記されている。
 
 第一牧志公設市場の粟国智光組合長によると、設計は何度も変更があったという。最初の段階で四つだった出入り口は最終的に13カ所まで増えた。営業開始当時はクーラーが無かったため、風通しを良くして全店舗に客が入るような構造にしてほしいという事業者の強い要望に応えた。ほかにも客や売る人の顔が見えるよう、広い空間をつくり出すためのさまざまな工夫が凝らされている。粟国組合長は「商売人の声を反映して造られた建物だ」と語る。

 昨年7月には宮平さんの長男で建築士の隆雄さん=那覇市=が解体前の市場を粟国組合長とともに訪れた。粟国組合長から「旧市場の雰囲気を新市場の空間づくりに踏襲していきたい」と聞いた隆雄さんは「建物がなくなっても、この空間を引き継いでもらえる。建築士としても大きな喜び」と話した。

 市場は仮設店舗に移り営業を続けている。新市場は2022年4月にオープン予定。

(記事は2019年7月の取材をもとに再編集しました)

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