新型コロナ沖縄の今

「仕事をしているのか、税金泥棒」鳴り止まぬ電話 疲弊する保健所の職員

2020年4月21日 09:19

 2階会議室-。那覇市保健所の一角にあるこの部屋は4月に入り、急きょ開設された。四角形に配置された机に、マスク姿のスタッフが距離を置いて座る。パソコン端末と電話が5台。電話を受けた女性スタッフが、聞き取った内容をメモ用紙に書き留めていく。

新型コロナウイルスの問い合わせへの対応に追われる那覇市保健所の職員=15日午後、那覇市与儀

 新型コロナウイルス感染について相談を受ける「帰国者・接触者相談センター」。市民にとって最初の窓口で、検査を受けるべきか病院を受診すべきかをここで判断する。管轄する那覇市内では20日までに50人以上が感染し、県全体の4割以上を占める。職員は対応に追われている。

◆不安が偏見に

 午前8時15分。相談の開始時間の15分前、待ちきれない市民からの着信音が部屋に響く。開始時間になれば、一気に回線は埋まり、午前中は電話が鳴りっぱなしだ。

 3月は1日平均数十件だった相談が、4月に入ってからは100件、中旬からは200件を超える。症状を聞き取り、検査のため病院の受診になる人は20~30人ほどという。

 感染への不安からか、相談ではない電話も増えている。「感染者の情報をなぜ隠すんだ」「ちゃんと仕事をしているのか。税金泥棒」。長い時は30~40分、そんな声を聞き続ける。

 仲宗根正副所長は「不安になる気持ちはよく分かる。でも不要な偏見が感染症のリスクを高め、感染を拡大させてしまう」と危機感を口にする。「このような電話に時間を取られると、本来の業務ができなくなる」

◆聞き取り徹底

 保健所の仕事は、電話業務だけではない。感染者の行動を調べ、感染経路をたどるチーム「積極的疫学調査班」は県内の感染拡大を防ぐための要となる。調査はこんな具合だ。

 感染者や濃厚接触者に対面や電話で聞き取りを始める。発症前後にタクシーに乗ったと聞けば、どこでどのタクシーに乗ったのか、当時のレシートはないか、LINEの履歴に何か分かるものは残っていないかを細かく調べる。居酒屋に行っていたと聞けば、店に連絡し、従業員に症状はないか、客の中に発熱した人がいると聞いたことはないかと広がりを確かめる。

 これを毎日、繰り返す。接触した人を一人一人探して、症状を聞いて回る。経路を解明し、感染範囲を最小限にするためだ。

◆「全力尽くす」

 検査のための検体を県衛生環境研究所(うるま市)に運んだり、患者を病院に連れて行ったりする仕事も担う。新型コロナでの保健所の役割は幅広く、その責任は重い。

 もしも所内で感染者が出れば、スタッフは自宅待機になるため業務は一気に滞ることになる。そのためスタッフのケアを図る観点から一部は2交代制にし、スタッフ同士のサポートも欠かさない。

 那覇市保健所はこれまで十数人で対応してきたが、4月から約30人の応援が入り、現在は40人体制。現状は何とか業務が回っているが、さらに感染者が増えれば、先は見通せない。

 仲宗根副所長は「いま市民、県民は新型コロナと戦っている。医療機関も含め、私たちも全力を尽くしている。静かに見守ってほしい」と呼び掛けた。

(社会部・光墨祥吾)

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