社説

社説[辺野古設計変更]地盤調査せず申請とは

2020年4月22日 06:00

 埋め立て工事の根幹にかかわる軟弱地盤の不都合なデータを放置したまま、国は名護市辺野古の新基地建設を強行し続ける姿勢をあらためて示した。

 防衛省は21日、名護市辺野古の新基地で大浦湾側の軟弱地盤の改良工事に伴う設計概要の変更承認申請書を県に提出した。

 「建設ありき」で県に迫る国に対し、玉城デニー知事は「県が求める対話に応じることなく、県民に十分な説明もないまま、埋め立て工事の手続きを一方的に進めることは到底納得できない」と強く批判したのは当然のことだ。

 埋め立て工事の最大の難関は最深部分が海面から約90メートルに達する「マヨネーズ並み」とされる軟弱地盤の改良工事だ。現在の作業船で改良工事ができるのは70メートル程度で、今回の地盤改良は世界でも例をみない難工事になる。

 防衛省は70メートルより下は「非常に堅い粘土層」と説明する。最大深度90メートルの「B27」地点の強度は、約150~約750メートル離れた3地点の調査から類推したに過ぎない。だが、「B27」地点では、軟弱地盤を示す受注業者の実測データが発覚している。新潟大の立石雅昭名誉教授(地質学)らが業者の実測データを基に護岸の安定性を調べた結果、国土交通省が定める港湾施設の基準を満たさず、巨大護岸が崩壊する恐れがあると指摘している。

 国は業者の調査は簡易的な調査で、強度の検討に適さないとして認めていない。ならば、90メートル地点をボーリング調査するのが筋だ。その結果を盛り込んでいなければ即刻取り下げるべきだ。

■    ■

 県は前日の20日、新型コロナウイルスの感染拡大防止で独自の緊急事態宣言を発表し、政府に「特定警戒都道府県」指定するよう要請したばかりだ。玉城知事は「国、県は新型コロナ対策に主眼を置くべきだ。(政府の)姿勢に疑問を呈さざるを得ない」と政府の手法に憤った。

 感染拡大で、医療機関、保健所など多くの関係機関が検査や感染者の対応、県民からの相談などに忙殺されている。県民も感染や経済の悪化で不安を募らせている。

 一方で、県民への外出自粛要請を受け、21日から県庁内の職員の出勤を2分の1に減らした矢先の提出だ。

 なぜ、この時期なのか。コロナ対策よりも、新基地建設を優先する構図は県民の命を軽視していると言わざるを得ない。

■    ■

 大規模な地盤工事の環境に与える影響は甚大だ。

 国は環境影響評価(アセスメント)をやり直す必要はないとしている。だが、名護市辺野古の新基地建設を巡る辺野古の住民らの抗告訴訟で、那覇地裁は判決の中で、軟弱地盤の改良工事に伴う設計変更の際、改めて環境影響評価を実施する必要があるとの見解を示している。

 計画が変更されたとしても、大浦湾の軟弱基盤が強固になるわけではない。建設計画は破綻している。国は「辺野古唯一」を見直し、新基地建設を伴わない新たな方針を見いだすべきだ。

 

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