社説

社説 [県の「普天間」対応] 局面打開へ行動を示せ

2020年4月25日 09:49

 設計変更申請が出された以上、県は法令に基づいて審査を行わなければならないが、その前に、あるいはその作業と並行して、やるべきことがある。

 沖縄防衛局が名護市辺野古の新基地建設に伴う設計概要の変更承認申請書を県に提出したのは、新型コロナウイルスの感染拡大に対処するため、県が独自の緊急事態宣言を打ち出した翌日早朝のことである。

 県には何の事前連絡もなかった。国と県が協力して感染拡大防止に乗り出すべき大事な時に、ありえない対応が平然と行われたのである。

 河野太郎防衛相は「普天間飛行場の一日も早い返還を実現し、その危険性を除去することにつながる」と、決まり文句を強調した。

 だが、ここには大きなまやかしがある。

 防衛省によると、県の承認後、完成までの工期は12年。総工費は当初の2・7倍の約9300億円に膨らむ。

 環境汚染事故や騒音、所属機・外来機の事故が多発している現状を考えれば、工期12年というのは事実上の固定化と変わらない。その見立てすら甘いといわれているのだ。

 普天間の一日も早い返還と危険性除去という本来の目的をどのようなプロセスで、いつまでに実現するのか。

 国に具体的な工程表を提出させ、それを審査の前提にすべきだ。公文書で疑問点をぶつけ、国の考えを文書で明らかにさせる必要がある。

 本来の目的実現に向け県や県議会、宜野湾市が足並みをそろえて取り組むべき時だ。

■    ■

 改めて振り返ってみよう。

 埋め立て申請を承認した仲井真弘多元知事は2013年、一日も早い危険性除去を実現するため「5年以内の運用停止」を安倍晋三首相に求めた。

 防衛省は、辺野古移設が完了するまでの一時的暫定的な措置としてオスプレイの佐賀空港への訓練移転を佐賀県に打診した。だが、訓練移転も「5年以内の運用停止」も実現しなかった。

 菅義偉官房長官は、5年以内の運用停止が実現できなかったのは、県が非協力的だったからだと、県に責任をなすりつけた。

 政府は昨年9月の「負担軽減推進会議」で、新たな期限の設定は難しい、との考えを示した。後退に次ぐ後退である。

 設計変更申請で明らかになったのは、新基地建設を見直すことによってしか普天間の一日も早い危険性除去は実現できないという事実である。

■    ■

 新型コロナウイルス対策と普天間問題。県は今、前例のない困難な課題に直面している。

 もともと別個の問題ではあるが、コロナ対策に失敗し、県への不満が高まれば、玉城デニー知事の求心力が低下し、普天間問題にも影響を与えるのは避けられない。

 この二つの問題に取り組む上で玉城知事に求められるのは、発信力を強め、目に見える形でリーダーシップを発揮することだ。

 県民共通の利益を実現するため不退転の決意を示すことが、今、何より重要である。

 
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