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県内の申請なぜたった16件? 社労士に聞く「雇用調整助成金」の実態と課題

2020年4月27日 10:19

【社会保険労務士・大城貴子氏に聞く】

雇用調整助成金の課題などを説明する大城貴子社会保険労務士=24日、おおしろ社労士事務所

 新型コロナウイルス感染拡大に伴い、県内経済は大きな打撃を受けている。国は雇用調整助成金で雇用維持へ協力を求めているが、手続きが煩雑との指摘が相次ぐ。制度に詳しい社会保険労務士に、実態と課題を聞いた。(聞き手=政経部・玉城日向子)

 -雇用調整助成金は県内の申請件数が16件だが、相談件数は3千件を超えている。

 「相談窓口は増えているが、対応できる人員が不足している。専門用語が難しく、書類の作成で分からないことがあると解決できずに、頓挫してしまうのでは。多くの社労士は顧問先への対応で精いっぱい。相談対応の依頼もあるが、なかなか手が回らない」

 -具体的な課題は。

 「従業員に支払う休業手当と受給できる助成金の額に、差がついてしまうことだ。助成金の受給に必要な計算は原則、労働保険料の申告書に従う。助成金の利用を考える場合、すでに申告を終えた昨年度の申告書の記載内容によって助成額が決まる。現時点の給与を基に計算されるわけではないため、昇給などが反映されない。実際に休業手当として支払った額が助成されるわけではない」

 -雇用維持のため、できることは。

 「助成金だけで雇用を維持するのは難しい。運転資金などに幅広く使える中小企業セーフティーネット資金や、持続化給付金などを併用する必要がある」

 -勤務中、新型コロナに感染しても自己責任とする同意書にサインを求められたとの相談があった。

 「事業主には感染予防の対策を立て、どういう対策をしたか従業員に伝え、実際に対策が実行されているのか管理する責任がある。事業主が責任を放棄していることが問題だ」

 「同意書は、同意を強要されたり内容を理解せぬままサインしたりした場合は、法律上無効になる。感染やその疑いがあるときの補償には、傷病手当、労災保険、休業手当などがある。こうした補償に不安があれば、沖縄労働局などの専門機関に相談してほしい」

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