社説

社説[インターハイ初の中止]腐らず諦めず前向きに

2020年4月28日 08:50

 選手たちの気持ちを考えるとショックだが仕方がない。

 全国高等学校体育連盟(全国高体連)はウェブを使って臨時理事会を開き、今夏の全国高校総合体育大会(インターハイ)を中止することを全会一致で決めた。

 新型コロナウイルス感染拡大に伴う中止決定である。

 高校スポーツ最大の祭典であるインターハイは3年間の部活動の集大成の場として30競技で高校日本一を決める。あこがれの舞台だ。各競技の全国高校選手権を統合して1963年に始まって以来、中止は初めてという。

 今年は東京五輪・パラリンピックの影響で会場や宿泊施設の確保が難航し、東北から九州の21府県を網羅する異例の広域開催となっていた。

 感染リスクは競技中だけでなく、移動や宿泊施設でも大きい。学校の休校で練習時間の確保が難しく、けがが懸念される。医療機関が大会での事故などに対応できない可能性も判断材料とした。新型コロナ対策だけで数千万円単位の出費が想定され、金銭面でも苦しかったのが実情だ。

 全国高体連にとって苦渋の決断であったのは間違いない。岡田正治会長は「この決定は夢を奪うことではない。安心安全、命を守ることを選んだ結果」と選手たちにメッセージを送った。

 インターハイを目指し3年間あるいは中学から仲間と苦楽をともにしてきたはずだ。高校スポーツは教育の一環であり、健康を最優先しなければならない。

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 インターハイ中止は、県民にとっても残念だ。

 県代表が臆せず全国の選手たちと競い合う姿は子どもたちには夢と希望、大人たちにも勇気と誇りを与える。

 沖縄の選手たちが全国レベルの大会で思うように力を発揮できなかった時代はもうすっかり過去のことだ。

 昨年の高校総体は沖縄も開催県の一つだった。記憶に残るのは県立武道館で行われたなぎなたである。

 団体決勝で首里が知念との県勢対決を2-1で制し、2年連続3度目の優勝を飾った。個人でも首里の選手が優勝、技の優劣を競う演技では知念が優勝するなど県勢で初めて3種目を完全制覇した。県の高校総体史に刻まれる圧巻の成績を残した。

 首里の宮城昭奈主将は「自分たちの代でも優勝したかった」と悔しがる。厳しい練習に打ち込んできたはずで、無念さを思うと胸が痛む。

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 東京五輪・パラリンピックの延期が決まった際に日本オリンピック委員会(JOC)の山下泰裕会長はこう言って選手たちを励ました。「腐らず、諦めず、もう1回、自分自身を奮い立たせ、すべてを前向きにチャレンジしてほしい」。東西冷戦時代の1980年、日本選手団はモスクワ五輪をボイコット。山下氏はその精神で4年後のロサンゼルス五輪で柔道男子無差別級で見事金メダルを獲得した。

 インターハイ中止で落胆している選手たちも多いに違いない。山下氏の言葉をまっすぐに受け止め、当初の目標と志を忘れずに練習を続ければ次の舞台が必ず待っている。


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