〈降る雪や/明治は遠く/なりにけり〉俳人の中村草田男が詠んだのは、明治が終わって約20年後だった。きょうは昭和の日。こちらもずいぶん遠ざかった。「それ、昭和だね」という言葉は今や、時代遅れの意味だ

▼昭和世代には、天皇誕生日としてなじみ深い。この祝日の最後は1988年。当時の本紙1面トップは「政府が新消費税の導入を提案」だった。まだ3%の税率も明記がなく、議論が始まった時期だ

▼県政を見ると、西銘順治知事が米国出張中。総務部長は県庁への「OA機器」導入に苦心していた。オフィス・オートメーションという用語に、時代を感じる

▼懐かしい昭和の文化を見直す動きもある。かつて愛用したカセットテープ。歌番組で好きな曲が始まると、ラジカセをテレビに近づけ息を殺して録音した。楽曲をCDではなくテープで買う人がいま、静かに増えている。中高年だけでなく「逆に新しい」と若者の需要があり、東京には6千本を扱う専門店も

政治にモノ申すラサール石井さんを、芸人仲間が「優等生なら芸人やってられません」と擁護した。寄せられたのは「その考え方、昭和ですね」という批判

▼権力への自由な論評が封殺され「こんな時に国を批判するな」の大合唱も、昭和の戦前戦中に起きた。「昭和ですね」で一蹴できない歴史こそ、語り継ぎたい。(吉田央)