社説

社説 [首里城復興基本方針] 構想具体化する道筋を

2020年4月30日 09:32

 首里城再建に向けて、県は首里城を核に周辺のまちづくりを盛り込んだ復興基本方針を決定した。

 政府は2026年までに正殿の完成を目指す工程表をまとめている。

 主要な建物を失った火災現場では、焼け残ったコンクリートの骨格部分の解体作業などが急ピッチで進む。

 これまで味わったことのない衝撃を受けた首里城火災からきょうで半年。新型コロナウイルスの感染拡大で経済や生活が大きな影響を受ける中、再建への着実な動きは県民を勇気づける。

 県が策定した首里城復興基本方針は「正殿等の早期復元と復元過程の公開」など9項目からなる。

 柱に据えているのが、「新・首里(すい)杜(むい)構想」による歴史まちづくりの推進で、県営公園区域にある中城御殿や円覚寺の復元を計画的に進めていくとする。

 焼失した正殿など国営公園部分の再建が国主導で進む中、県は首里城を中心に、より広い範囲で琉球王国の文化・歴史空間の「復興」に取り組む考えだ。

 描く新・首里杜構想は、県が1984年に策定した首里杜構想をベースとしている。中城御殿などの復元は目新しい話ではないが、文化や歴史を体現できるまちづくりを進めることは、県の主体性の発揮につながる。

 課題は一体的整備に必要な予算をどう確保し、県民の思いに応えるかである。

 県は今「ポスト復帰50年」に向けての作業を進めている。次期振計に構想を位置付けるなど具体化の道筋を示すべきだ。

■    ■

 県方針のもう一つの柱は、旧日本軍の第32軍司令部壕など首里城周辺の戦争遺跡の保存、継承である。

 司令部壕については、以前から沖縄戦体験者や有識者らが一般公開を求める声を上げていた。

 今回、県は「崩落の可能性があり、公開は困難」としつつも、AR(拡張現実)など情報通信技術を駆使し、内部を見せる方法について触れている。

 沖縄戦では司令部壕が置かれたことで、首里城とその一帯が、米軍の攻撃目標となった。

 戦争と平和について考える大切な場所である。沖縄戦の実相を伝えるためにも、首里城再建に平和発信という新たな価値を付与し、将来世代へしっかり継承する必要がある。

■    ■

 首里城再建を巡っては、今も支援を申し出る人が絶えず、内外から多額の寄付金が寄せられている。

 県は浄財を赤瓦や龍柱などシンボル的なものに使いたいとしているが、その使途については寄付者が納得できるような丁寧な議論と透明性が求められる。

 政府の工程表では、6年後には正殿がよみがえる。

 新たに「私たちの首里城」としてよみがえらせるためには、県方針にある復元過程の公開など、県民の関心を高めるさまざまな仕掛けが必要だ。心のよりどころを取り戻す歩みを、学びの場とすることもその一つである。

 
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