社説

社説 [緊急事態宣言延長] 追加的な支援が急務だ

2020年5月2日 11:17

 安倍晋三首相は、新型コロナウイルス特措法に基づく緊急事態宣言の期間を延長する意向を表明した。全都道府県を対象に、5月末まで延長する案を軸に調整している。

 現行の6日の期限について安倍首相は記者団に「7日から、かつての日常に戻ることは困難だ。ある程度の持久戦を覚悟しなければならない」と述べた。

 1日当たりの新規感染者数が一時700人以上に上ったころと比べると鈍化傾向にあるとはいえ、なお高止まりが続いている。

 政府は外出の自粛や在宅勤務などで「人との接触を最低でも7割、極力8割減らしてほしい」と呼び掛けていたが、目標は達成できていないとみている。

 ここで警戒を緩めては感染がぶり返す恐れがあり、緊急事態宣言を延長するのはやむを得ないだろう。

 1日に開かれた政府の専門家会議でも、1日当たりの新規感染者数は減少傾向にあるものの、医療現場の逼迫(ひっぱく)した状況は解消されておらず、引き続き外出自粛などの行動変容を徹底する必要があると提言。全国で1カ月、宣言を延長することで認識が一致した。安倍首相が4日の対策本部会合で最終決定する。

 全国知事会では一部地域で解除されると新たな人の流れが起きてしまうと心配する声や、全国一律の延長を地方から求めるのは心理的抵抗がある-など自治体の感染者数で温度差があったが、全都道府県を対象に緊急事態宣言延長を求める方針を確認した。

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 延長は政府による家計や中小企業などへのさらなる支援と一体でなければならない。

 成立したばかりの政府の本年度補正予算では所得制限を設けず、国民1人当たり10万円が支給される。新型コロナで打撃を受けている人には1回限りで終わりというわけにはいかないだろう。

 支給は早くて連休明けになりそうだ。スピード感に欠けるのは減収世帯に限った当初の30万円の給付について異例の組み替えをしたからだ。

 自治体の協力金や支援金に活用できる1兆円の臨時交付金はさらに増額が必要だろう。政府は直ちに第2次補正予算に取り掛かるべきだ。

 県の本年度第2次補正予算も成立した。休業要請の事業者に一律20万円の協力金、休業対象でない飲食業などに10万円の支援金を支給する。

 政府の政策と連動しながら、切れ目のない支援に一層力を入れるべきだ。

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 新たな問題も浮上している。中小事業者などが休業中も固定費として支払わなければならない家賃である。与野党から家賃負担を支援する要望が出ており、安倍首相は追加対策に取り組むべきだ。

 アルバイトが減少することによって学費の支払いに不安を抱える学生への支援も緊急の課題だ。親の収入減などで退学を考えている学生が20・3%に上っているという。5人に1人の割合で深刻だ。

 宣言はいつまで続くのか、精神的な疲弊を払(ふっ)拭(しょく)するためにも政府はどういう状態になれば宣言を終了するのか、具体的な基準を示すべきだ。

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