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「喫煙者は新型コロナにかかりにくい」 まさかの新説は本当か

2020年5月10日 08:00

[窪田順生ITmedia]

 「そうだと思ったんだよなあ。喫煙者が危ない、危ないというわりには、オレのまわりの喫煙者はみんな新型コロナに感染せずにピンピンしてるよ」なんて感じで胸がスカッとした愛煙家の方も多いのではないだろうか。

 4月24日に、フランスのピティエ・サルペトリエール病院から発表された研究結果のことである。なんと驚くなかれ、ニコチンが新型コロナウイルスの感染を抑制している可能性があるというのだ。

 同病院の研究チームが新型コロナの患者343人と軽症の感染者139人を調査したところ、喫煙者の割合がわずか5%で、フランスの喫煙率約35%を大きく下回っていたという。要は、このデータをもってして、「喫煙者のほうが非喫煙者より新型コロナにかかりにくい」という説を唱えているのだ。「たまたまでしょ」と思うかもしれないが、実はこの傾向はフランス以外でも確認されている。

「喫煙者は新型コロナにかかりにくい」説は本当か

 例えば、アメリカの学術論文「ニューイングランド医学ジャーナル」によれば、中国では感染者1000人中の喫煙者の割合が12.6%という研究結果が出ているが、中国の一般人口の習慣的喫煙者の割合は約26%。中国社会全体と比較して、感染者の喫煙率は大きく下回っている。

 このような結果から、この研究チームは「ニコチンが細胞受容体に付着することで、ウイルスが細胞に侵入して体内で拡散するのを阻止する可能性がある」(同上)と仮説を立てて、さらなる臨床試験を実施するためにフランス保健当局からの承認を待っているというのだ。

 という話を聞くと、「デマを流すな!」とご立腹の医療関係者も多くいらっしゃるに違いない。世界の医療の主流としては、このような説と180度真逆で、「喫煙は新型コロナのリスクを高める」ことが「常識」となっているからだ。

 例えば、WHOは3月20日、「タバコを吸わないでください。喫煙は、あなたがCOVID-19にかかった際に重症化させるリスクがあります」というメッセージを世界へ発信しており、日本でも東京都医師会が「禁煙」を呼びかけているほか、日本呼吸器学会が「喫煙は新型コロナウイルス肺炎重症化の最大のリスクです」という声明も出している。実際、志村けんさんが亡くなった際にも、「4年前に肺炎で入院するまでの40年以上、ヘビースモーカーだったことが影響したのでは」という説明をする専門家が多くいた。

 この背景には、喫煙によって新型コロナにかかりやすくなるとか、喫煙や過去の喫煙歴によって重症化リスクが高まる、という学術論文が各国の研究者から続々と公表されていることに加えて、喫煙が慢性閉塞性肺疾患(COPD)をはじめとする肺の病気の主たる原因という事実がある。

 
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