記者が見た あの勝負

[記者が見た あの勝負] 宮里美香 下馬評覆し初V 20歳、プロ2年目で開花

2020年5月11日 07:00

2010年10月3日 ゴルフ日本女子OP最終日

日本女子オープンで初優勝し、宮里藍(左)らに祝福され涙する宮里美香=2010年10月3日、茨城県・大利根CC

宮里美香の初優勝を伝える2010年10月4日付スポーツ面

日本女子オープンで初優勝し、宮里藍(左)らに祝福され涙する宮里美香=2010年10月3日、茨城県・大利根CC 宮里美香の初優勝を伝える2010年10月4日付スポーツ面

 宮里美香が単独首位、4打差の2位に上原彩子、さらに2打差の4位に世界ランキング1位の宮里藍-。2010年9月30日~10月3日に茨城県大利根CCであったプロゴルフの国内メジャー、日本女子オープンは優勝争いに県勢3人が絡む夢のような最終日に突入した。国体の出張で隣県の千葉にいた私は写真部記者と共に現場へ飛び、大会事務局に頼み込んで最終日の取材をすることができた。

■崩れる予想も

 「どうせ崩れるよ」「メンタル弱いから」。スタート前、報道控室で全国紙か専門誌の記者たちが宮里美について話していた。そう言われるのも無理はない。プロ2年目で米ツアーを主戦場とする20歳の宮里美には優勝経験がなく、前年の大会は2位に4打差の首位で出た最終日に6オーバーと大きく崩れ、6位に甘んじた。

 前年から挑んだ米ツアーでは幾度となく上位争いに食い込みながらも栄冠は遠く、つい数カ月前には自身のブログで「正直今のわたしには、4日間良いプレーを続ける力がまだまだありません」と打ち明けるほど苦しんでいた。

 この大会も第3日に「思い切りの良さが欠けた」と終盤に4ボギーをたたくなど、不安要素もあった。それでも大手記者の話を耳にすると同じウチナーンチュとして悔しくなり、見返してほしいと心底思った。

■抜群の安定感

 最終ラウンドが始まると、宮里美は大崩れを予想した記者たちを見事に裏切ってくれた。他を圧倒する精度の高いショットでバーディーを量産。最終盤にやや乱れて1ボギーとしたが、この日4アンダーと伸ばした。4日間通算でアンダーパーが8人しかいないメジャーならではの難しい仕様のはずだったが、見る者にそう思わせないほど、シンプルにフェアウエーキープとパーオンを重ねていった。

 2位との差を6打に広げる通算12アンダー、276の大会最少スコアで初日から首位を譲らず完全優勝。米ツアーでさまざまなコースを経験し、状況に応じて身に付けたアプローチなど、成長した跡を日本中に見せつけた。

■藍と涙で抱擁

 ラウンド中は平常心を心掛け、エッジからバーディーをねじ込んだ6番以外はほとんど喜びを表さない。リーダーズボードもあえて見ないようにしていたという。淡々とした表情でホールアウトしたが、グリーン上に駆け込んだ宮里藍らに抱擁されると、ぼろぼろと泣き崩れた。

 20歳358日での大会制覇は宮里藍の20歳105日に次ぐ年少記録で、平成生まれの選手では初の国内ツアー優勝。本紙は号外を発行し、翌日の紙面で大展開、さらに後日に特集を組んで快挙を伝えた。

 アマチュア時代に4年連続でナショナルチーム入りし、世界ジュニア選手権も制した逸材がプロで開花した瞬間だった。そこに立ち会えたことは、私の記者人生の中でも思い出の一ページとなった。(當山学)

=肩書やチーム名などは当時。

 

野球・ゴルフ・サッカー・バスケ・・・プロからアマまでスポーツ全記事、読み放題! >>「沖縄タイムス+プラス スポーツ」

前の記事へ 次の記事へ
沖縄関連、今話題です(外部サイト)
JavaScriptをOnにしてください
きょうのお天気