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手探りの「再開」かじ取り 医療と経済のはざまで 知事ぎりぎりの決断か

2020年5月12日 11:31

 玉城デニー知事が11日、当初の方針から一転して、休業要請の一部解除を発表した。県内で感染者ゼロが続く一方で、経済界から休業長期化への悲鳴が日ごとに高まっていた。専門家や県の対策本部でも意見は割れ、最後は知事が決断した。未知のウイルスとの闘いに「医療と経済の両立」という難題を抱え、手探りで経済活動の再開に踏み切る。(政経部・大城大輔、福元大輔、大野亨恭)

休業要請の部分解除について、報道陣の質問に答える玉城デニー知事=11日午後、県庁(代表撮影)

 「少しずつ経済活動をスムーズに動かしていきたい」

 知事は記者会見で、20日まで延長したばかりの休業要請を、一部前倒しして14日に解除する理由をこう語った。

 県の専門家会議が示した段階的活動再開の3条件のうち、一つを満たしていない状況。8千人が来県したというゴールデンウイーク後、2週間は警戒するという方針からも逸脱した。

 だが、県幹部は「いつ再開するかはずっと議論していた。本当なら5日の時点で、場合によっては前倒し解除すると打ち出せればよかったが、間に合わなかった」と内情を明かす。

 実際、知事は明確な時期を打ち出さなかったものの、5月に入り「出口戦略の検討をしっかり進めていく」などと、経済活動を意識した発言も多くなっていた。

 休業要請の前倒し解除は県の幹部が出席する対策本部会議でもさまざな意見があり、専門家の間では反対意見もあったという。

 慎重論の一方で、感染者数が落ち着きを見せ、日に日に高まる事業者側からの悲鳴に直面。「県経済は史上空前の落ち込み。最後は知事が決断せざるを得なかった」(県幹部)

 県政与党幹部の一人は「経済界から窮状を訴える声が多く届いていた。ぎりぎりの判断をしたのだろう」と推し量る。

 一方の野党、自民県連内からは「県議選を見据えたアピールでは」との臆測もある。県連の中川京貴会長は「県の危機管理には多くの県民が不安を覚えている。玉城県政にこの危機は託せない」と、知事のコロナ対応を痛烈に批判した。

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 なぜ11日の発表にこだわったか。14日は、県内で最後に感染者が出た4月30日から潜伏期間が明ける2週間目。一部解除に踏み切る根拠になる。

 「14日にいきなり発表しても、事業者が準備できない」(県幹部)。事業の再開に必要な、感染予防のガイドライン策定に数日かかることを考慮した。

 ただ、解除後に感染者が増加に転じれば、知事の判断は妥当性を問われかねない。

 県幹部はこう苦慮する。

 「結果論になってしまうが、第2波、第3波は必ずくる。県民が協力してゼロに近いところで対応しながらどう経済も動かして軟着陸させるか。初めてのコロナ対応の難しさだ」

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