新型コロナ沖縄の今

「元気そうだね」自動ドア越し親子の会話 新型コロナ、介護施設の苦悩

2020年5月13日 10:04

 新型コロナウイルス感染症を防止するため、介護施設や病院での面会制限が長期にわたっている。入所者や家族の中には、会えないストレスや症状進行への不安を訴える声もあり、施設側もさまざまな工夫や配慮で家族交流の機会をつくり、非常事態の収束を待つ。(学芸部・新垣綾子)

自動ドア越しに母(右)と会話をする長男夫婦。「寂しくならないように毎週、顔を見に来ています」と話した=4月29日、南風原町・サービス付き高齢者向け住宅「ファミリーホームくくる」

ビデオ会議アプリ「ズーム」で本紙の取材に答える南部病院緩和ケア病棟の笹良剛史医師=4月24日

自動ドア越しに母(右)と会話をする長男夫婦。「寂しくならないように毎週、顔を見に来ています」と話した=4月29日、南風原町・サービス付き高齢者向け住宅「ファミリーホームくくる」 ビデオ会議アプリ「ズーム」で本紙の取材に答える南部病院緩和ケア病棟の笹良剛史医師=4月24日

■面会を制限

 「顔色も良く、元気そうだね」。南風原町のサービス付き高齢者向け住宅「ファミリーホームくくる」。職員に車いすを押され玄関に現れた母(86)に、男性(65)は安堵(あんど)の表情を浮かべた。感染防止のため面会は原則禁止だが、自動ドア越しの制約付きで5分ほどの会話。親子ともに笑顔で、自然と声が大きくなる。

 大好物という豚の三枚肉や大根の煮物の差し入れを受け取り、次のリクエストを口にする母に「食欲旺盛で、口だけは達者」と男性。一緒に訪れた妻(61)は「週末に施設外でランチをするのが義母の何よりの楽しみだったが、今は施設の方々に託すしかない。厳しい感染対策は必要だし、義母本人もそれを理解しているのが救い」とうなずいた。

 施設を運営する法人の山田親泰(ちかやす)統括部長(45)は入居だけでなく、同じ建物内を含め2カ所でデイサービス事業を継続中とし「通所者を含めた感染防止に、さらに神経をとがらせている」。4月1日から始まった面会禁止。解除の目安を21日と決まった同町内の学校再開から10日~2週間後と定める。

■症状悪化も

 入居する30人の8割ほどに認知症の症状があり、寝たきりの人もいる。「今のところ、不穏状態になる入居者はいないが、面会禁止が長引くほど影響が心配。体調の変化にいつも以上に気を配り、家族との連絡を密にしたい」と山田部長は語った。

 東京都内の施設職員が新型コロナに感染したことなどを受け、厚生労働省は2月下旬、福祉施設などでの面会について「緊急やむを得ない場合を除き、制限することが望ましい」と都道府県などに通知。緊急事態宣言が全国に拡大した後、沖縄県も「面会は原則、中止すべきことを要請する」との実施方針を打ち出している。

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