新型コロナ沖縄の今

また路上で歌いたい コロナ県内初確認から3カ月 街の空気一変

2020年5月14日 05:00

 ミュージシャンの森島和樹さん(35)=那覇市=は、那覇市久茂地のパレットくもじ前で8年続けた路上ライブをやめた。毎晩のように、観光客や帰宅途中の地元客を相手に歌ってきたが、県内で感染確認が相次ぐと路上に立てなくなった。人通りが減ったからというより、「人の視線が怖くなったから」だ。「当たり前の風景は何一つ当たり前じゃなかったんですね」

路上ライブができなくなり、自宅スタジオで歌う森島和樹さん=那覇市

 ほぼ毎日、午後9時半~午前2時ごろまで、歌声を響かせてきた。リクエストに応えたり、客の名前を取り入れて即興で歌ったり。時には常連客の悩み相談も受けた。

 4月1日を最後に路上を離れた。「3月31日と4月1日は別世界のようだった。人通りはあっても、歌どころではない雰囲気を感じた」

 楽しそうな観光客はおろか、仕事終わりにほろ酔い気分で立ち止まる地元客もいない。それどころか、「せき一つで鋭い視線」が刺さる。楽観的でおおらかな県民性ともいわれる沖縄でも街の空気は一変した。

 収入源のイベント出演は軒並みなくなり、別の職業に就くことも考えた。落ち込んでいると「元気を与える側が暗くなっちゃ駄目だよ」と旧知の客から励まされた。

 休業要請の一部が解除されても、生活や街がすぐに元通りになるとは思えない。苦しいからこそ、歌が必要だと森島さんは言う。「コロナ禍がいつ終わるか分からないけど、歌は心をほぐしてくれる。だからまた路上に戻って歌いたい」と思っている。(社会部・榮門琴音)

 □    □

 新型コロナウイルス感染症が県内で初めて確認されてから14日で3カ月。緊急事態宣言に伴う県の休業要請の一部が解除される。人々が移動を減らし、外出を控えて人波が消えた街は、再び活気を取り戻せるのか。路上で、海で、モノレールで-。街の変化を見つめた。

 

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