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「沖縄へ核の再持ち込み」密約で米軍説得 返還交渉を主導したた元米高官が証言

2020年5月15日 07:00

 【平安名純代・米国特約記者】沖縄施政権返還に携わった元米政府高官のモートン・ハルペリン氏は13日までに、米首都ワシントン市内で沖縄タイムスの取材に対し、返還交渉当時、沖縄で核兵器を維持する戦略的価値はすでに低下していたと証言した。米軍は撤去に根強く抵抗したものの、最終的には、返還には核撤去が必要との日米間における高度な政治決定に従った経由を明らかにした。

米首都ワシントン市内の米財団オープン・ソサエティー事務所で沖縄タイムスの取材に応じるモートン・ハルペリン氏

 ハルペリン氏は、1967年に国防次官補代理として国務省のスナイダー日本部長と返還交渉を主導。69年1月からホワイトハウスの国家安全保障会議(NSC)でキッシンジャー大統領補佐官の下で返還作業を進め、佐藤栄作首相の密使、若泉敬氏と非核三原則に反する核再持ち込みを容認する秘密合意をまとめる裏交渉にも携わった。

 当時の米政府内での沖縄の核兵器撤去に関する経由についてハルペリン氏は、「ポラリス(潜水艦発射弾道ミサイル)やB52(核搭載型戦略爆撃機)で標的を直接狙うことが可能な時代となり、沖縄に核兵器を維持する理由がなくなっていたが、軍は手放したがらず、議論すら拒否していた」と指摘した。

 日米両国は67年11月の首脳会談で早期返還を確認。ハルペリン氏は、核兵器撤去を返還の条件とした日本の要求を受け、ホワイトハウスが「沖縄の核兵器を維持すれば復帰は実現しない。日米間の同盟にも危険をもたらす」と強く主張。国務省がこれを後押しし、「軍に沖縄の核撤去を諦めさせたのは、軍事的有用性に関する議論ではなく、政治状況に関する議論であり決定だった」と説明した。

 佐藤栄作首相の密使だった若泉敬氏とも裏交渉を重ねたハルペリン氏は、米軍を説得するために密約(非常時に核の再持ち込みを認める)は「必要不可欠だった」と指摘。「合意(密約)がなければ、恐らく軍は反対して議会に助けを求めに行き、議会も反対して(沖縄の核撤去と返還は)空中分解していただろう」と回顧した。

 ジョンソン、ニクソン両政権で返還交渉に携わったハルペリン氏は、クリントン大統領の特別補佐官などを経て、現在は米財団オープン・ソサエティー上級顧問を務め、核戦略専門家としても影響力がある。

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