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子を怒鳴り罪悪感で泣いた夜 “密室”で孤立する親子「エスカレートする自分が怖い」

2020年5月24日 11:59

 子どもの貧困率が全国平均の2倍の沖縄。もともと苦しい状況で子育てする家庭に、新型コロナウイルスの感染拡大は追い打ちをかけた。外出自粛期間中の「密室」で孤立をいっそう深め、親や子が追い詰められている。「みんなが苦しい中で助けてと言いづらい」。緊急事態解除で日常が動きだす中、SOSをどうキャッチし、寄り添えるかが問われている。(社会部・篠原知恵)

「赤ちゃん、動いてる!早く会いたいね」と大切そうにおなかをさする上の娘(右)とミサさん=12日、本島南部

上間陽子 琉球大教授

「赤ちゃん、動いてる!早く会いたいね」と大切そうにおなかをさする上の娘(右)とミサさん=12日、本島南部 上間陽子 琉球大教授

■臨月

 「エスカレートする自分が怖い」。20代のミサさん=本島南部=がすっかり膨らんだおなかをさする。6歳と1歳の娘、6月上旬に新たな家族も加わる。

 だが所持金はゼロ。結婚1年半の夫とは2月から別居している。実家とも疎遠で、介護職のパートで生計を立てる義母の単身アパートに親子3人で身を寄せ、3食と携帯料金の面倒を見てもらっている。

 4月、待機児童だった2人の娘の保育園がやっと決まり、ネイリストに復帰し、出産直前まで働けるはずだった。わずかでも生活を立て直せる、と期待した。だが新型コロナで勤務先が休業に。子どもたちも登園自粛を求められ、収入のあては消えた。

 義母にも経済的な余裕はなく、今年は上の娘に誕生日プレゼントもあげられなかった。「好きなお菓子さえ買ってあげられなくて悔しい」とうつむく。

■感情

 感染防止で公園などにも外出できず、この1カ月半は娘たちとじっとアパートにこもった。

 かまってほしくてちょっかいを繰り返す上の娘に何度か怒鳴った。「もう出て行って、とか言っちゃいけない言葉を口にした」。おびえて固まる娘の姿にまたいら立ち、つい突き飛ばしたこともある。「大人の力でしょう。尻もちつくのを見て『あ、またやっちゃった』って」。感情を抑えられず、かっとしてたたくこともある。

 やっと1人の時間ができた深夜に「虐待」の2文字がよぎり、罪悪感で泣いたのは数え切れない。

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