23日に急逝した女子プロレス選手の木村花さんが生前、SNSで誹謗(ひぼう)中傷を受けていたことを巡り、議論が起きている。恋愛リアリティーと銘打ち、男女6人が共同生活する様子を追う人気テレビ番組に出演していた

▼中傷が激しくなったのは同居人とトラブルがあり、相手を非難する様子が放送された後という。「早く消えろ」「死ね」。辛らつな言葉を向けられ、悩んでいることを投稿していた

▼リアリティーと言ってもカメラが回り、編集する以上、完全なリアルではない。にもかかわらず、視聴者からの誹謗中傷が出演者へと向かった

▼ネットには憎悪むき出しの書き込みが横行する。今回の件を受け、著名人の投稿も相次ぐ。検察庁法改正案に抗議の意思を示し、批判された歌手のきゃりーぱみゅぱみゅさんは「芸能人だって1人の人間だよ忘れないで」とつぶやいた

▼中傷した人を特定しようとする動きもある。憎悪の連鎖にならないか。評論家の荻上チキさんは毎日新聞に「加害者のモラルの問題に矮小(わいしょう)化しても解決しない」と語る。プラットフォーマーの責任や、放送に伴うリスクを個人に背負わせる構造など改善へ議論を促す

▼木村さんは将来を嘱望されていたという。元選手の母親がかつて「沖縄プロレス」に所属し、県内にも住んでいた。22歳の死は重い問いを残す。(大門雅子)