社説

社説 [緊急事態全面解除] 第2波へ備えを怠るな

2020年5月26日 09:03

 安倍晋三首相は25日、新型コロナウイルス特別措置法に基づき北海道と首都圏の東京、埼玉、千葉、神奈川の5都道県で継続していた緊急事態宣言を解除した。

 4月7日に東京など7都府県を皮切りに全国に発令した宣言は、約7週間ぶりに全都道府県で全面解除となった。

 不安がないわけではない。政府は解除の目安として「直近1週間の新規感染者数の合計が人口10万人当たり0・5人程度以下」を挙げていた。

 北海道、神奈川県は数値をクリアできていないからだ。政府は、新規感染者数が減少傾向にある-ことなどを解除の理由に挙げた。だが実際は経済再生を優先した見切り発車である。

 有識者らで構成する諮問委員会は、北海道と東京都、神奈川県は解除後も引き続き感染者の動向などの調査分析を指示した。再拡大の恐れが消えたわけではないことを考えると当然である。仮に北海道、東京都、神奈川県で感染の再拡大が確認されれば、再指定をためらうべきでない。

 安倍首相は経済対策として本年度第2次補正案に、売り上げの急減した中小企業への家賃支援、自治体向け臨時交付金の2兆円の増額、業績が悪化している企業への12兆円規模の資本支援策などを盛り込む。困窮するひとり親家庭には5万円を支給する。

 全面解除によって、感染拡大防止と経済活動を両立させて進めなければならない局面に入った。感染リスクの低い業種から徐々に緩和していくのは妥当だろう。

■    ■

 専門家は、夏季にウイルスの感染力が弱まっても、日本で秋冬に感染第2波が流行するのは不可避とみている。インフルエンザ流行と重なることを想定し病院の発熱外来の拡充に取り掛かるべきだ。

 医療用マスクや防護服の確保も不十分だ。感染拡大で明らかになったのは諸外国に比べ、日本のPCR検査態勢の遅れだった。PCR検査は再流行の兆しをいち早く捉える上でも重要である。政府は大学や民間の協力を得て1日当たり2万件超の当初の目標にやっと到達した。

 病床の確保も不可欠だ。厚生労働省によると、21日時点で確保した病床は計1万7698床。入院患者は計2058人で、現段階では逼迫(ひっぱく)していないが、第2波のピーク時に病床数を具体的に算出して確保しなければならない。

 全面解除された今こそ第2波に備え医療・検査態勢を確立する期間に充てるべきだ。

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 新規感染者は現在もピーク時の5%前後出ている。新型コロナはワクチンが開発されておらず、治療法も確立されていない。新型コロナとの闘いは長丁場になることを改めて覚悟したい。

 働き方や日常生活も変わった。在宅勤務などのテレワークは進んだが、「職場に行かないと閲覧できない資料・データのネット上の共有化」が課題とのデータがある。企業、政府の支援が必要だ。

 コロナ以前に戻ることはできない。密閉・密集・密接の「3密」を避け、マスク着用など「新しい生活様式」の定着を図りたい。

 
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