社説

社説[コロナ解雇]実態把握を急ぎ対策を

2020年5月27日 05:00

 新型コロナウイルスの影響による解雇や、契約更新を打ち切られる「雇い止め」が全国で1万人を超えた。

 沖縄労働局のまとめによると22日時点で県内は158人。2月は3人だったが、3月は19人、5月は136人と急増している。

 ただこの数は、ハローワークや沖縄労働局が、事業主らから聞いて把握できたものに限られ、氷山のほんの一角にすぎない。

 労働問題に詳しい沖縄大の島袋隆志教授は「出勤日や勤務時間を減らされ、生活できずに、正式な手続きを取らないまま、自発的に辞めて、求職活動している人も多い。実態と数字は乖離(かいり)している」と指摘する。

 2008年のリーマン・ショックでは、非正規労働者の雇い止めが相次いだ。

 沖縄は非正規の割合が43・1%と全国一高い。

 ことし2~4月、連合沖縄と県労連に寄せられたコロナ関連の労働相談42件のうち非正規労働者からの相談が半数を占めた。給与の減額や解雇、雇い止めなどの相談が多かった。

 沖縄のリーディング産業である観光は人件費の割合が高い労働集約型産業で、人件費を抑えるため、非正規率が高い。

 経営が悪化すると、立場の弱い非正規労働者は「雇用の調整弁」にされてきた。コロナはまだ収束が見通せず、長引く休業の影響で、さらにしわ寄せが強まることが懸念される。

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 沖縄タイムスが、沖縄大地域研究所、NPO法人県学童・保育支援センターと、小中高生の保護者を対象に実施したアンケートでは、低所得層ほど、雇用環境が悪化している現状が明らかになった。

 世帯所得4区分のうち、最も低い200万円未満世帯の約23%が「解雇された、または休業せざるを得なくなった」と回答した。全体の12・5%を大幅に上回り、低所得層ほど不安定な雇用環境に置かれていた。

 コロナ後の収入の減少幅は「5割以上減った」が約22%、「まったくなくなった」が約19%で、600万円以上世帯とそれぞれ約3倍の開きがあり、低所得世帯ほど経済的なダメージが大きかった。

 ひとり親世帯では、収入が「まったくなくなった」と答えた割合が、ふたり親世帯と比べ、およそ2倍多かった。

 コロナ禍、社会的弱者がさらに追い込まれている実態がみえる。

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 厚生労働省は約1万人の解雇・雇い止めのうち、正規・非正規の区分を把握していない。沖縄労働局も同じで、「会社が特定される可能性がある」として業種も公表していない。

 働く現場で何が起こっているのか、実態が分からなければ対策の取りようがない。

 労働力調査など、本格的な調査結果が出るまでには時間がかかる。今こうしている間にも職を失い、困窮の度合いを深めている人がいる。

 どのくらいの数の、どんな人たちが、どんな危機に直面しているか。国は、早急に実態把握に乗り出すべきだ。

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