河川や地下水などに含まれる有機フッ素化合物PFOS(ピーホス)とPFOA(ピーホア)について、環境省が、1リットル当たり50ナノグラムとする指針値を決定した。健康の保護に関連する物質として、モニタリングに努めるよう「要監視項目」に位置づけたのは一歩前進だ。しかし、問われるのは、米軍基地からの漏出が相次ぐ県内で、実効性をどう担保するかだ。

 PFOSやPFOAは、体内に蓄積されると発がん性や胎児・乳児の発育障害の原因になることが指摘されている。国内では製造・使用が禁止されているが、米軍基地では、耐熱性に優れていることから、泡消火剤などに使われている。

 4月には普天間飛行場から14万リットル超(ドラム缶719本分)の泡消火剤が民間地域に流れ出した。泡はこども園の遊び場を覆い、市街地に舞い散り、川を通じ海に達するなど周辺環境に影響を与えた。

 県は、日米地位協定の環境補足協定に基づき土壌と水のサンプル採取を求めたが、立ち入りが認められたのは11日も後のことだった。さらに、米軍は汚染現場の土壌の採取を拒否し、土壌は米軍の提供という形をとった。客観性、透明性を欠き、科学的調査とは呼べない。

 今回、環境省はPFOSとPFOAの指針値を決めたものの、指針値を超えたとしても罰則など法的拘束力はない。指針値を超えた場合、汚染防止対策をどう進めていくのか。環境省は、米軍基地問題を所管する外務・防衛省と連携して、方針を示すべきだ。

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 県環境保全課が2019年度に実施した米軍基地周辺の有機フッ素化合物実態調査では、51地点中46地点で、PFOS、PFOAの合計値が環境省の指針を超えている。 

 嘉手納基地に近い水釜の比謝川周辺の地下水が2200ナノグラム、宜野湾市内の湧き水でも880ナノグラムと桁違いに高かった。一方、基地から離れた南城市では、1・9ナノグラムだった。汚染が米軍基地由来であることは、間違いない。

 他方、環境省から委託を受けて県が年に1~2度、基地内の汚染処理施設や排水溝で実施する環境モニタリング調査は、14年度以降中断。米軍が基地内への立ち入りを認めないことが原因だ。

 「要監視項目」に位置づけた以上、環境省自ら、それを担保する基地内調査の再開に汗をかくべきではないか。

 基地が環境汚染の「ブラックボックス」になっている懸念を払拭(ふっしょく)するのは基地を提供する国の役割である。

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 PFOS、PFOAが「要監視項目」に設定されたことで、住民の不安が解消されるわけではない。

 県は日米地位協定の見直し要請で、米軍の活動に対して環境保全に関する日本国内法の適用を求めている。

 水質汚濁防止法は、有害物質の発生源の施設に立ち入り調査ができると定める。

 地位協定は米軍に対し、「公共の安全に妥当な配慮」を求めている。優先されるべきは住民の健康と安全だ。政府は国内法の実質的な適用を、米軍に強く求めるべきだ。