農作物の豊作を願い虫舟を海へ流す伝統神事「アブシバレー」が20日、沖縄県の名護市嘉陽区(神谷秀仁区長)で行われた。虫流しの日には例年区民らが浜に下りて「浜遊び」を行うが、今年は新型コロナウイルス感染拡大の影響で浜遊びは取りやめになり、虫流しの神事だけが行われた。

虫舟を抱えてリーフへ向かう神谷秀仁区長=20日、名護市・嘉陽海岸

 虫舟はバナナの葉の茎で作られ長さ約80センチ、幅約20センチ、重さ約2キロ。帆にはクバの葉が使われた。同区のノロ殿内で比嘉小夜子さん(93)と宮城幸子さん(89)の2人が虫を乗せた虫舟を置き、神酒を供え、「ニライカナイへと行き二度と戻らないでください。作物も豊作であるように」と手を合わせた。

 その後、神谷区長が海岸へ下りるジョウグチ(門口)から嘉陽の浜まで虫舟を抱き、サーフボードをこいで約300メートル沖のリーフ外で虫舟を流した。同区では38世帯から虫を集め、ゲットウやユウナなどの葉に包み虫舟に乗せた。

 リーフから戻って来た神谷区長は「リーフの外から勢いよく流れていった。4月に区長になって最初の大きな仕事だったが無事できた」とほっとした様子だった。

 虫流しを見守っていた元区長の大城広堅さん(94)は「かつてはあぜの草を刈り取った時、バッタやネズミ、カタツムリを子どもたちが捕まえ虫舟に乗せていた」と昔から続く神事の歩みを振り返った。(玉城学通信員)