「大学進学したいけど、お金がないから、いやだと言われた。無理にお願いできないし、夢をあきらめるしか方法はないのだろうか」

 「本人は大学進学を希望し、学力的にも可能だとは思うが、経済状況を考えた時、学費の工面が困難だと思う」

 県は29日、家庭の経済状況が進路や生活に与える影響などを調べた「高校生調査」を発表した。高校生や保護者からは切実な声が上がる。

 2016年に続き2度目の調査。進路を巡り困窮層の厳しい現実が改めて浮き彫りになった。

 調査は昨年11月、全60校の県立高校2年生の半数(6858人)とその保護者を対象に調査票を配布した。国の16年度の基準に基づき等価可処分所得122万円未満を困窮層と位置付けた。

 卒業後の進路では、困窮層の高校生は非困窮層に比べ県外大学の割合が低く、県内専門学校が高い。

 沖縄の大学進学率は約40%で全国平均の約55%と比べ大きな開きがあり、全国最下位である。全国との差が縮まらないのは家庭の経済力が大きな要因といわれる。

 保護者に「現在よりも経済的にゆとりがあるとしたら」と問うと、困窮層の方が「就職よりも進学」「短大・専門学校よりも4年生大学への進学」の希望が高かった。

 先の困窮層の県外や県内の進学先は高校生が主体的に選び取ったものかは疑問で、自分の努力だけではどうしようもないことを示している。経済的理由で希望通りの進路が選べない実態が浮かぶ。

 進路格差であり、学歴と生涯賃金が密接なことを考えると、格差の連鎖につながる。

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 困窮層の高校生が部活に参加していないのは、非困窮層に比べて多い。

 参加していない理由を尋ねると、困窮層は「アルバイトをしているから」「部費や部活動に費用がかかるから」「家の事情(家族の世話、家事など)があるから」が非困窮層より高くなっている。

 部活動は学校生活の楽しみの一つであるだけでなく、友人と絆を築いたり、互いに切(せっ)磋(さ)琢(たく)磨(ま)して成長したりできる大切な場である。

 経済的理由で部活動に参加できないことは経験格差ともいえる。

 アルバイト収入の使途も困窮層が「家計の足し」「携帯・スマートフォン代」「学校の昼食代」に充てている割合が非困窮層より高く、自ら家計を助けている姿が浮かぶ。

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 所得の低いひとり親世帯を対象にした県のバス通学補助は利用者が増えている。10月からは住民税非課税世帯などに広げ無料化を始める。

 気になるのは無料塾や、低所得世帯に授業料減免などをする大学無償化法を知っているのが一定程度にとどまっていることだ。行政や学校側は周知する必要がある。

 調査時点の県内経済は観光が好調で雇用環境が改善していた時期だ。新型コロナウイルスの影響で県経済がかつてない落ち込みをみせ、コロナ解雇が顕在化している。

 県は実態調査とそれに基づいた支援策を急ぐべきだ。