記者が見た あの勝負

「まぐれじゃない」まさにジャイアントキリング 入念な準備で歴史的1勝 [記者が見た あの勝負]

2020年6月15日 05:30

[記者が見た あの勝負]2018年12月30日全国高校サッカー 那覇西-駒大高

11人目でPK戦に勝利して初戦を突破し、応援スタンドへ駆け出す那覇西イレブン=2018年12月30日、東京・駒沢陸上競技場

那覇西が5大会ぶりに初戦突破したことを伝える2018年12月31日付スポーツ面

新垣亮

11人目でPK戦に勝利して初戦を突破し、応援スタンドへ駆け出す那覇西イレブン=2018年12月30日、東京・駒沢陸上競技場 那覇西が5大会ぶりに初戦突破したことを伝える2018年12月31日付スポーツ面 新垣亮

 まさにジャイアントキリング(番狂わせ)だった。2018年12月30日、東京・駒沢陸上競技場で開かれた年末年始の風物詩・サッカー全国高校選手権。大会の醍醐味(だいごみ)とも言える「大物食い」の一戦に立ち合うことができた。

■潮目変えた同点

 県代表の那覇西は、地元の駒大高と開会式直後の開幕試合で戦った。1万3577人の大観衆で埋まった競技場で、私は相手ゴール近くでカメラを構えた。試合が動いたのは押し込まれる場面が多くなり始めた前半36分。自陣ゴール前のこぼれ球に合わせられ、先制点を許した。

 だが那覇西はここから真骨頂の勝負強さを発揮する。後半16分、前線への縦パスにFW宮國永遠が反応。相手DF2人を軽やかなステップでかわし、右足で放った強烈ミドルで試合を振り出しに戻した。ゴールが決まった時、競技場は一瞬静まり返り、その後大歓声に包まれたことを今でも覚えている。

 スーパーゴールに沸き返る那覇西応援団に対し、静まり返る駒大高スタンド。早い段階で追い付けたことで、「ひょっとしたらいけるかも」と私は思った。場内の空気が大きく反転し、潮目が変わった感じがしたからだ。以降、那覇西はアウェーでありながら観衆を味方につけ、楽しんでプレーしているように見えた。

■PKで揺さぶり

 勝負は1-1と互いに譲らず、PK戦に突入した。キッカーがピッチに向かう前のわずかな時間で、平安山良太監督は気合よりも勝つための冷静さを選手たちに求めた。「絶対勝つぞ!」と鼓舞するのではなく、諭すように「那覇西の強さを見せつけようか」と声を掛け、送り出した。

 「GKをよく見て、軸足をピッチにしっかり固める」「ボールを最後まで見て、しっかり捉える」。キッカーにはそう伝え、GK新垣凱斗にはあえて大声で指示を出し、相手GKに揺さぶりを掛けた。

 10人蹴っても勝負はつかず、スタンドは息詰まる攻防にため息が漏れた。そして11人目、先行の相手が中央に蹴ったボールを新垣凱が残していた左足ではじいた。最後は、その新垣凱がゴール左上の隅へ蹴り込んで勝負を決めた。

 熱戦に終止符が打たれると、応援団が陣取る方向に駆け出すイレブンを私は走って追い掛けた。耳をつんざく歓声に体が震えた。

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