大弦小弦

[大弦小弦]警察の暴力 記録と抗議を

2020年6月1日 07:37

 警官に押さえつけられ、助けを乞う声が路上に響いた。22日、渋谷区で。25日、米ミネソタ州で

▼ミネソタでは、白人警官がひざを黒人男性の首に当てて9分間のしかかった。「息ができない」と訴えた男性はそのまま死亡。警察が黒人に牙をむく歴史が繰り返され、抗議行動が全米に広がっている

▼渋谷では、在日クルド人の男性が職務質問を受けた。男性は「何もしていない」と話したが、警官2人が「なめんなよ」などと罵声や暴力を浴びせ、首などに全治1カ月のけがを負わせた。渋谷署に抗議するデモは200人を集めた

▼二つの事件を可視化したのは通行人が撮影した動画だった。どちらも警官の違法行為が明白だ。違うのは、ミネソタでは通行人が暴力を振るう警官に抗議していること。片や渋谷では、通行人が「こいつウケる」と男性の方をあざ笑っている

▼被害者の生死は分かれても、警察が差別に基づいて権力行使する恐ろしさは米国と変わらない。日本には外国人の人権を踏みにじる警官、基地建設に抗議する県民を「土人」とののしる警官がいる。次の標的は誰か

▼警官の大多数は正義感から志望したことだろう。差別に心を痛める人もいる。しかし、上意下達のピラミッド型組織は内部の良心だけでは変わらない。市民とメディアの力が必要だ。記録を。抗議を。(阿部岳

 
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