スーパーで出来たての温かい島豆腐に出くわすと、得をした気分になる。チャンプルーはもちろん、ほんのり塩味でそのまま食べてもおいしい。軽く温めれば立派な一品になるゆし豆腐も日々の食卓に欠かせない

▼歯応えがあって熱い-。最初に口にした時のインパクトは強烈だった。沖縄独自の食文化として親しまれている「あちこーこー島豆腐」。その店頭販売の方法が来年6月から変わるかもしれない

▼食品衛生管理の基準「HACCP(ハサップ)」に沿い、農林水産省が手引書で品質を保つ指針を定める。ゆし豆腐を含め、温度が55度を下回った場合は3時間以内に食べるか、冷蔵保存することが柱

▼10~55度未満の温度だと菌が増えやすく、食中毒を起こす恐れがあるためだとか。3時間がリミットでは、店頭で販売できる時間が短くなる。保温用の機器を入れるにしてもコストがかかる

▼パック詰めにすれば悩まなくていいのだが、と葛藤する製造業者の話もある。復帰時、水にさらす販売方法が義務付けられた際も陳情によって認めさせた、あちこーこースタイル。いい方法はないものか

▼最後の琉球王・尚泰の四男で食通として知られた尚順は随筆「豆腐の礼讃」で、安くて手に入れやすい豆腐を「真の美味珍味」とたたえた。存続の正念場に立つと、ありがたみが身に染みる。(大門雅子)