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一方的に賃金カット「他社も同じだから仕方ないだろう」 コロナ便乗、会社の圧力

2020年6月2日 09:00

[争点の足元 6・7県議選]雇用

「会社のやり方には納得がいかない」と話す男性運転手=1日、本島南部

 「新型コロナウイルスの混乱に便乗して、一方的に社員の待遇を下げる会社のやり方が許せない」。県内の観光バス会社で正規職員として働く40代の男性運転手は怒りを込める。

 県の発表では、県内の4月の完全失業率は3・4%。新型コロナの影響で前年同月と比べて0・9ポイント悪化した。男性は「自分にはまだ職場があるけど、立場は失業者も同然。観光業界で同じ境遇の人は多いはずだ」と嘆く。

 男性は主に外国人観光客相手のバスツアーを担当していた。「同業他社も同じなんだから仕方ないだろう」。新型コロナの影響でツアーがなくなると、会社はそう言って賃金カットを決めた。仕事がなくても基本給分の手取りを補償する-。入社当時に交わした契約はほごにされた。

 休業補償の金額を低く算定されたり、仕事も給料もないのに社会保険料の個人負担分の補填(ほてん)を求められたりした。

 団体交渉は会社の都合で先延ばしにされた。4月に入り、県内で新型コロナの感染者が増加。感染防止を優先せざるを得なくなり、一度も対面での交渉ができていない。

 会社の対応は、従業員を自主退職に追い込もうとしているように映る。運転手を続けたいと思う一方で、別の仕事を探すべきか悩む時間も増えた。「自分から身を引いたら、コロナ禍だから仕方ないという会社の立場を受け入れるみたいで納得がいかない」と決断を先送りしている。今はアルバイトで食いつないでいるが、いつまでこの状態が続けられるか分からない。「ここまできたら、政治の力に頼るしか道はないと思う。県議選は雇用対策に力を入れる候補者に投票する」と話す。

 県労働組合総連合(県労連)によると、新型コロナの影響で減給や解雇、雇い止めに遭った人の相談は5月末までに45件あった。小規模事業所で働く非正規労働者の相談が多いという。嶺間信一事務局長は「会社が違法な業務命令をしていると分かっていても、新型コロナだから仕方がないと泣き寝入りする労働者が多い」と指摘する。

 沖縄大学の島袋隆志教授(雇用関係論)は「従業員が兵糧攻めに遭って弱体化している実態は、解雇や雇い止めと違って数値化されにくく、潜在化している」と危惧。「埋没した問題を政治がしっかり拾い上げ、行政と議会が両輪で雇用政策に反映させていくしか問題解決の道はない」と警鐘を鳴らす。(社会部・山城響)

 新型コロナウイルスが県民生活に影響を与える中で始まった県議選。暮らしがどう変わり、県民は政治に何を求めるのか。争点の足元を追った。

 
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