1989年6月4日未明、中国共産党・政府が北京にある天安門広場に人民解放軍を投入し、民主化運動で集まった学生らを武力弾圧した。国際社会に大きな衝撃を与えた天安門事件から、今日で31年になる

▼中国の全国人民代表大会(全人代=国会)は先月、この事件がなかったかのように香港の治安統制を強化する「国家安全法制」の導入方針を決めた。法律が導入されれば、言論や集会の自由など香港の自治が制限され、一国二制度が重大な危機に陥る恐れがある

▼香港ではこれまで、事件の黙殺が強いられている中国本土とは対照的に、大規模な追悼集会が毎年行われてきた。しかし今年は、新型コロナウイルスの感染拡大を理由に警察が開催を許可しなかった。国家安全法制導入の影響は否めない

▼一方、米国では、白人警官による黒人男性暴行死事件を巡り、全米で抗議デモが激化している。トランプ大統領はデモの沈静化に、軍隊の投入も辞さない構えだ

▼大統領はこれまで、人種差別と批判される言動で分断をあおってきた。その姿勢が、問題を解決するのではなく原因をつくってきたと言える

▼「コロナ後」の新たな国際秩序づくりを見据え、米中両国の覇権争いが激化している。どちらにせよ、力に頼る独りよがりの姿勢を改めなければ、国際社会からの信頼が得られるはずはない。(吉川毅)

<2020・6・4>