沖縄市出身で東京を拠点に活動するマセキ芸能社所属のお笑い芸人、与座よしあきさん(43)は4月初旬に新型コロナウイルスの陽性反応が発覚し、約1カ月の入院生活を経て5月13日に退院した。一時は肺炎が悪化し「死をすぐそばに感じた」という。与座さんが感じた異変や症状とはどのようなものだったのか。振り返ってもらった。

新型コロナウイルス感染症で入院中のころの与座よしあきさん(提供)

新型コロナウイルス感染症の闘病を振り返り「死をすぐ傍に感じた」と、オンラインアプリで話す与座よしあきさん=5月30日

新型コロナウイルス感染症で入院中のころの与座よしあきさん(提供) 新型コロナウイルス感染症の闘病を振り返り「死をすぐ傍に感じた」と、オンラインアプリで話す与座よしあきさん=5月30日

 4月に入り、東京都内での新規感染者数が増え始めた頃、与座さんは「念のため」と家族での検温を始めた。すると5日に38度超の発熱。しかし当時は「不思議とそれほどつらくはなかった」と話す。

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 数日間、自宅で安静にしていたが、熱が下がる様子はない。不安を感じた与座さんは自宅内での家族との接触を極力減らすようにした。妻には、管轄の保健所に電話連絡をしてもらったが全くつながらない。「2時間ずっとかけ続けてようやくつながった。発信回数を見たら198回目でした」

 保健所で指定された個人病院に連絡すると「うちでは無理」と警察病院を紹介され、ようやくPCR検査を受けることができた。「結果は3日後」と伝えられて帰宅したが、感じたことのない倦怠(けんたい)感は明らかに増していた。食欲も落ち、半年前から時々出ていた空ぜきの症状が急激に悪化。結果はやはり陽性だったが、病院からは、それでも自宅待機を告げられた。

 しかしその直後、明らかな異変が与座さんを襲う。「シャワーを浴びていたら突然、膝がガクガクと震え始めて立っていられなくなった。呼吸も苦しい」。保健所に連絡したところ緊急入院となった。4月16日のことだった。

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 指定病院では完全防護服の医療スタッフに囲まれた。病室に向かうのも裏口から。そんな様子に「俺、マジでやばい状態なのか」と不安が募った。

 陽性患者病床は6人部屋。その中で与座さんの症状は中程度と診断された。しかし肺炎症状は重く、酸素マスクをしていても「酸素をうまく取り込めずなんども気絶しそうになった」と振り返る。

 入院から約1週間後、医師から内服薬アビガンの処方を勧められた。後遺症の可能性も知ったが「この状況から解放されるなら」とわらにもすがる思いで承認したところ、服薬したその日の夜には熱が下がり倦怠感もなくなった。「ちゃんと寝られるようになった。峠を越えた安堵(あんど)感があった」と喜びを語る。

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 緩やかに回復に向かうも入院生活は約3週間続いた。闘病を支えたのが家族や芸人仲間からの励ましだった。「1歳11カ月のわが子がぐちゃぐちゃに塗った似顔絵が、とにかくいとおしくて。仲間からも『いいネタ作っておいてよ』と言われて力になりました」

 退院後は自宅でリモートワークをしながら経過観察中だ。「もし再感染したら妻からは『その時は自己責任で』とくぎを刺されています」と笑う。手洗いやうがいなどには人一倍気を配るようになった。「酒やたばこもやらず、持病もない私がここまで悪化した。医療従事者の懸命な尽力により、僕のように回復する人も増えており、決して絶望はしないで」と語った。

 東京都は6月1日から休業緩和第2段階へ移行した。劇場や映画館も対象だ。与座さんは「1日も早くステージに立ちたい。僕らは人を笑わせるのが仕事ですから」と意欲を見せた。(小笠原大介東京通信員)