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振り込まれた月給1万6724円 休業指示されたのに手当てなし 待遇「日々雇用」だったとは…

2020年6月5日 09:56

 「コロナで予約がほとんどないため13日、14日お休みでお願いいたします」「申し訳ございません」。新型コロナウイルスの影響が拡大した3月、那須一さん(66)=那覇市=のスマートフォンには、勤務先ホテルの上司から休業を指示するショートメールが相次ぐようになった。(編集委員・阿部岳

ホテル業界の待遇改善を求める那須一さん=25日、那覇市

 那須さんは館内の宴会場やレストランで接客する「配膳人」として働いてきた。3月は21日間働くことになっていたが、このうち18日間は休むよう指示され、働けたのは3日間だけだった。

 3月分として4月24日に振り込まれた給与は1万6724円。覚悟はしていたものの、やはり現実になると「生活できない。首をくくることになってしまう」と危機感が募った。

 せめて、と勤務予定だった日の休業手当など6万6600円の支払いを求めてホテル側と面談した。那須さんによると担当者は支払い義務がない「日々雇用だ」と主張した。

 常勤で働いている認識だった那須さんは、初めて聞く話に驚いた。日々雇用なら全ての勤務日の前に働くかどうかの意思確認が必要だが、実際は前月末に決まるシフト表通りに出勤していた。上司から連絡が来るのは、逆に出勤時間の変更がある時だけ。同僚の配膳人も同じ働き方だったと聞いている。

 面談の中で、ホテル側は休業手当と同額を支払う意向を示したという。那須さんは「使い捨てにされている人が私の他にもたくさんいる。今後是正するなら受け取るが、口封じなら意味がない」と断り、那覇労働基準監督署に申告した。

 那須さんは働き始めた時に労働条件通知書を受け取っておらず、今は従業員なのかどうかもあやふや。休業手当も失業手当も受け取れない中、コロナ対策で拡充された政府の総合支援資金などを借りて暮らしをつないでいる。

 他のホテルで勤務した経験もある那須さんは、「多くのホテルで同じことが横行しているはずだ。リーディング産業の観光業界がこんなひどい働かせ方でいいのか、関係者は考え直してほしい」と話す。

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