大弦小弦

[大弦小弦] 劇薬使わない処方箋を

2020年6月5日 08:15

 「不可解な謎」。豪州メディアはこう報じた。ある米誌は「何から何まで間違っているように思える」が、「不思議なことに全てがいい方向に向かった」と評す。日本の新型コロナウイルス対策のことだ

▼強制力のない外出自粛、少ないPCR検査。懸念をよそに、ふたを開ければ抑え込みに成功しているように映る。朝日新聞の調べでは、10万人当たりの感染者数は先進7カ国(G7)で最少。死者数も桁違いに低い

▼ただ、人々の接触機会の8割減を目標に掲げた緊急事態宣言の評価は分かれる。政府の専門家会議によると、感染のピークは4月1日ごろ。その6日後に出した宣言の前には既に収まり始めていたことになる

▼宣言がなくとも、日本人の清潔志向やマスク文化で抑え込めたとする見方がある一方、宣言があったからこそ意識が高まり、感染の広がりを防いだとする意見もある

▼新型コロナにはさまざまな説が飛び交う。季節性があるのか否か。日本人の免疫に関する見解にも幅がある。一つはっきりしたのは、8割減という劇薬は、感染防止に効くだけではなく、生活を支える経済をも瀕死(ひんし)に追いやる

▼もし第2波、第3波がやって来たら、どうするか。劇薬を使わずとも、難敵のウイルスを抑え込むことは非現実的だろうか。そんな「不可解」ならウエルカムだが。(西江昭吾)

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