那覇市の橋本顕彰さん(42)は、最も進行した「ステージ4」の肺腺がんと共存しながら、世界を旅する動画をユーチューブに投稿している。「やりたいことやって、悔いなく生きたい」。自由に生きる姿を動画で公開することで、がんと闘う仲間を「少しでも勇気づけることができたら」と願っている。(社会部・宮里美紀)

西海岸の海を背に、海外を共に旅してきたドローンを持つ橋本顕彰さん=5月28日、浦添市西洲

 橋本さんは福岡県出身。2009年に沖縄へ移住し、那覇市でサービス業を営んでいた。体に異変が起きたのは、浦添青年会議所副理事長として社会活動に励んでいた17年。空ぜきや血たんが出るようになったが、たばこを止めると良くなった。

 しかし同年秋、ふたたびせきと血たんが増えた。病院を受診し18年1月、医師から「ステージ4」を告げられた。40代男性でステージ4の肺がんの5年生存率は約5%という。「人生の終着駅が見えてしまった」。目の前が真っ暗になるような感覚を拭い、すぐに医師へ「じゃあ、旅に出ます」と宣言した。

 「医者の言うこと聞いて1年生きるのと、好きなことして10カ月生きるのとなら、後者だ」と思ったからだ。

 まずは同年2月のうちに国内旅行を約2週間。2月末からは1カ月かけて、タイ、ラオス、カンボジア、フィリピンを巡った。ラオスではデパートの販売員に一目ぼれ。帰国するも「つらいと聞く抗がん剤治療の前にもう一度会いたい」と恋慕し4月、またラオスに旅立った。結局「言葉の壁は越えられなかった」とあっけらかんと笑う。

 宿も現地で手配するなど、気の向くままに異国を楽しむ橋本さん。引きこもりがちで、悩んでいるがん患者の仲間に勇気を与えたいと、19年からユーチューブのチャンネル「肺がんステージⅣあきらの冒険記」を開設し、動画投稿を始めた。

 がん発覚から約2年間で、アジア11カ国で計200泊以上を過ごし、抗がん剤治療も計18回受けた。最近ではアフリカ大陸100日旅も計画していたが、新型コロナの影響で断念。コロナ禍が落ち着いたら「日本全国をバイクで回って、各地のがん患者やサバイバーと対談する動画を撮りたい」という。探求心を大切にしており、やりたいことは尽きない。

 「一緒に楽しもうぜ!」。持ち前の明るい笑顔で、がんと闘う仲間に勇気を共有し続けている。