社説

社説[持続化給付金委託]政府は疑念を検証せよ

2020年6月9日 09:36

 新型コロナウイルスの感染拡大に対応するための2020年度第2次補正予算案が衆参本会議で審議入りした。

 ここに来て浮上しているのが新型コロナ対策を巡る不透明な外部委託問題だ。

 持続化給付金は感染拡大で収入が前年同月比で50%以上減少した中小企業に最大200万円、フリーランスを含む個人事業主に最大100万円を支給する制度だ。

 769億円で事業を受託した一般社団法人サービスデザイン推進協議会(東京)が749億円で広告大手の電通に再委託していたのだ。業務を丸投げし、差額の20億円を「中抜き」していたのではないかとの疑いが払(ふっ)拭(しょく)できない。

 協議会は16年に設立。職員はわずか21人で理事はいずれも非常勤の8人。電通や人材派遣大手のパソナ、IT大手のトランスコスモスが協議会設立に関わったとされ、3社の関係者も就任している。

 協議会はこれまで経済産業省の計14件(総額1576億円)の事業を受託。9件を電通などに再委託していた。協議会が電通などに仕事を回す「トンネル法人」ではないかと指摘されるゆえんだ。

 ホームページには電話番号の記載もなく、法律で義務付けられている決算公告も1度も出していなかった。設立経緯や業務実態が不透明なのである。なぜこのような協議会が受託できたのだろうか。

 政府は第2次補正予算案に、給付金事業の委託費約850億円を追加。事業の継続性から、追加分も協議会が受託する可能性が高いという。

 自民党幹部からも政府に説明を求める声が相次いでいる。政府は疑念に対し検証し、発注の経緯をつまびらかにしなければならない。

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 委託問題はこれだけではない。第1次補正予算に盛り込まれた「GO TO キャンペーン」だ。

 新型コロナの影響で打撃を受けた観光・飲食業を支援するため、コロナの感染収束後の飲食や宿泊業の需要喚起策として打ち出された措置である。旅行商品の購入や飲食店の予約、イベントのチケット購入時に、割引やポイントを付与するものだ。

 事業全体では、1次補正予算で1兆6794億円を計上。問題は最大3095億円と見積もられている外部への事務委託費だ。

 なぜこんな膨大な額になるのか。政府は圧縮する方針を示し、事務の委託先の公募をいったん中止した。委託費の精査が不可欠だ。

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 2次補正予算案には政府が事実上自由に使える10兆円もの巨額予備費が盛り込まれた。国会の事前チェックを原則とする「財政民主主義」をないがしろにするものだ。政府、与党は野党の求めに応じ、5兆円分を雇用維持や医療提供体制強化などに振り向ける。野党は残り5兆円の予備費を中心に組み替え動議を作成する方針だ。

 コロナ禍で中小企業は倒産や廃業の危機にさらされている。一刻も早い予算成立を急がなければならない。だが税金の無駄遣いを監視するのは国会の役割だ。「12日成立ありき」ではいけない。

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