社説

社説[コロナで病院経営悪化]財政的な支援が急務だ

2020年6月10日 07:08

 新型コロナウイルス感染症患者を受け入れる県内の協力医療機関の経営が悪化している。地域の中核病院でコロナ禍による経営破綻が相次げば、感染拡大の第2波に備えるどころか、医療体制全体が崩壊しかねない。国や県は手厚い支援を急がなければならない。

 沖縄タイムスが実施したアンケートで、新型コロナ患者に対応する県内15の協力医療機関のうち、半数超の9病院が受け入れや準備により4月の事業収益が前年に比べ減り、このうち8病院が現状が長引けば2020年度内に資金が不足する恐れがあると回答した。1病院は4月の事業収益が前年に比べて20%以上減り、5病院は10~19%減だった。新型コロナ患者を延べ171人を受け入れた那覇市の病院は「病院経営上、最大の危機に陥ると予測する」と訴える。

 協力医療機関は、感染症治療の中心となる県立病院などの6指定医療機関で受け入れられなくなった主に軽症から中等症の患者や、感染の疑いがある人を受け入れている。県内の感染拡大期に果たした役割は大きい。

 協力医療機関では感染防止のために病床数を減らしたり、外来・手術を制限するなどして対応した。病棟を閉鎖する事例もあった。そのため、病院経営上の目標(計画病床)に対するベッド稼働率の低下が事業収入を直撃、ほかの病気の患者の受診控えも追い打ちを掛けた。受け入れのためにベッドを空けた場合の補助も十分ではない。

 「新型コロナ患者を受け入れれば受け入れるほど損になる」という声が上がる事態は看過できない。

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 経営悪化は規模の大きい病院だけではなく、開業医の診療所にも広がっている。

 県保険医協会が県内の開業医101人に新型コロナ感染拡大の影響を聞くと、9割の90人が4月の外来患者が昨年4月より「減った」と答えた。3分の1は3~7割まで減少したという。感染を警戒した外来患者の受診減が響いている。

 医療機関に診療報酬が入るのは申請から2カ月後。患者の落ち込みが激しくなった4月の影響は2カ月後の6月から出てくる。資金繰りで厳しくなれば、廃業も起きかねない。

 地域医療に詳しい専門家は小規模の病院の閉院が相次げば、大規模病院に患者が集中して医療崩壊を招きかねないと警鐘を鳴らし、医療機関に特化した財政支援の必要性を指摘する。

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 経営危機は全国的な問題だ。日本病院会などの調査によると、4月の利益率は病院全体で昨年の同じ月に比べ10ポイント減のマイナス9%で、大幅に悪化した。感染者を受け入れた医療機関は昨年4月に比べ12・2ポイント減のマイナス11・8%。より深刻な影響を受けている。

 国は20年度第2次補正予算案で医師や看護師らへの最大20万円の慰労金支給、都道府県の取り組み支援など医療提供体制の強化に2兆9892億円を計上した。

 地域の実情に合わせた実効性とスピードが必要だ。

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