社説

社説[辺野古工事再開へ]民意は一貫 中断継続を

2020年6月11日 05:00

 政府は2カ月近く中断している沖縄県名護市辺野古の新基地建設工事を12日に再開する方針を固めた。7日投開票された県議選は与党が過半数を維持し、新基地建設に反対する民意の底堅さを示すものだった。政府は工事再開を断念し、米軍普天間飛行場の一日も早い危険性除去を図るべきだ。

 自民党県連は県議選の政策で初めて辺野古を容認し訓練移転で普天間の運用を最小限にすると掲げた。争点を明確にしたのだ。

 逆転はならなかったが、自民党が議席を伸ばした結果に、菅義偉官房長官は「地元でかなり理解が進んでいるのではないか」とコメントした。都合のいい解釈である。

 当選者の内訳は、新基地「反対」が与党25人に加え、中立の公明を合わせ27人と多数になる。明確な「賛成」はわずか3人、条件付き容認が17人である。

 翁長雄志氏が知事に当選した2014年以降、知事選と国政選挙は「オール沖縄」勢力が12勝1敗。さらに、県民投票では、「反対」が投票総数の7割を超えた。

 「ノー」の意思を繰り返し繰り返し示しているのだ。謙虚に受け止め、民意に応えるのが、民主主義国家のとるべき姿勢ではないか。

 新基地工事中断は作業員に新型コロナウイルスの感染者が出たことが理由だが、県議選への影響を避けたとの見方がある。選挙が終わった途端の再開は、あまりに露骨だ。

 県議選の結果が安倍政権の姿勢に「ノー」を突きつけたことを忘れないでもらいたい。

■    ■

 政府は、これまで「辺野古が唯一の解決策」という言葉を繰り返してきた。

 普天間の現実はどうか。

 周辺では「騒々しい工場内」に相当する90デシベルを超える99・5デシベルを記録するなど深夜の騒音が常態化している。外来機の飛来も相次ぐ。宜野湾市には「オスプレイの低空飛行で子どもたちが眠れない」などの苦情も殺到している。

 環境問題も深刻だ。

 人体に有害な有機フッ素化合物PFOS(ピーホス)を含む泡消火剤が基地外に大量に漏れ出した事故では、県の汚染土採取が米軍に拒否されるなど住民の暮らしと命が、危険にさらされている。

 安倍晋三首相が14年に県と約束した普天間の5年以内の運用停止も期限が切れ新たな目標も立てられないままだ。

 政府自民党がまず取り組むべきは、限度を超えた住民の一刻も早い負担軽減である。

■    ■

 政府の言う「早期の辺野古への移設」という計画自体が破綻している。

 5年から7年以内とされた普天間返還合意からすでに24年が経過する。政府は軟弱地盤の存在を隠し浅瀬から工事を強行。仮に県が設計変更を認めたとしても、政府試算で12年、9300億円と工期は延び費用もふくれあがる一方だ。サンゴやジュゴンなど自然環境への悪影響も大きい。

 必要なのは、県の万国津梁会議が提言したような政策転換である。海兵隊の訓練を県外、国外に移転するよう米側と協議を始めることが、早期の危険性除去と普天間返還へ政府が果たすべき責任だ。

 
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