社説

社説 [空自に宇宙作戦隊] 軍拡競争に加担するな

2020年6月14日 09:30

 航空自衛隊の「宇宙作戦隊」が府中基地(東京都府中市)を拠点に発足した。宇宙監視に専従する自衛隊の部隊設置は初めてだ。

 日本の人工衛星を守るため、役割を終えた人工衛星の破片やロケットの部品などの宇宙ごみ(デブリ)や隕石(いんせき)、不審な衛星を監視する役割を担うという。

 宇宙作戦隊は約20人で発足し、ゆくゆくは100人規模の増員を視野に入れる。山口県山陽小野田市に建設するレーダーで、多くの人工衛星が活動する高度約3万6千キロの静止軌道を監視する。宇宙航空研究開発機構(JAXA)は静止軌道と高度千キロ以下の低高度周回軌道を担当する。

 当面は準備期間で2023年度から本格的運用が始まる見通しだ。地上から見つけにくいデブリを捉えるため26年度までに独自の宇宙監視衛星の打ち上げも計画している。

 懸念されるのは日米が宇宙分野でも連携を強めようとしていることだ。防衛省は米軍やJAXAと情報共有システムの構築を目指している。

 宇宙を舞台にした米中ロの軍事利用の動きが加速している。米軍は昨年12月に独立軍として宇宙軍を発足させた。約1万6千人体制で、陸海空の宇宙分野の全機能を統合する。宇宙空間の監視を強化し、人工衛星の防衛やミサイルの早期探知など宇宙空間で軍事作戦を実施。中ロが開発する衛星キラーと呼ばれる衛星攻撃兵器に備え、衛星網を強化する。トランプ大統領は宇宙軍創設で「宇宙は新たな戦闘領域だ」と明言した。

 自衛隊と米軍の軍事的一体化が宇宙分野に広がると、日本が軍拡競争に巻き込まれる恐れが払(ふっ)拭(しょく)できない。

■    ■

 宇宙の軍事分野で衛星依存は高まるばかりだ。

 米国は中ロの技術開発に危機感を強めている。

 中国は07年、衛星破壊実験に成功した。15年には宇宙分野の担当部隊を設置した。ロシアも航空宇宙軍を創設し、衛星攻撃兵器の開発を進めているといわれる。

 米宇宙軍の司令官は空自の宇宙作戦隊の発足を歓迎し「今後、宇宙空間での日米の相互運用性を高めていく」と連携強化を強調した。

 河野太郎防衛相は昨年10月、米国の衛星が他国から攻撃を受けた場合、安全保障関連法の存立危機事態に当たる可能性があるとの認識を示し、集団的自衛権行使に言及したことがある。

 前のめりの姿勢に危うさを感じないわけにはいかない。

■    ■

 防衛省は電磁波を使って他国の衛星の通信を妨げる装備の開発を掲げている。他国の衛星の運用妨害ができるのはどんな場合か、日本の衛星が攻撃されれば即自衛権を行使できるのか…。法的解釈は確立していない。国際的ルールも未整備だ。

 日本は1969年の国会で「宇宙の平和利用」を決議。2008年に宇宙基本法が成立し「安全保障に資する宇宙開発利用」に道を開いたが、1条には「憲法の平和主義の理念を踏まえ」と記されている。安全保障の基本方針である「専守防衛」を踏み外すことがあってはならない。

 
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