合掌する厳かな姿にすっと背筋が伸びた。沖縄戦最後の激戦地、糸満市摩文仁にある高さ12メートルの沖縄平和祈念像は、全戦没者の追悼と世界平和を発信するシンボルとして親しまれている

▼その像と同じサイズの原型が宜野湾市普天間にある古いアトリエにひっそりと保管されている。一般公開しておらず、先日、管理する沖縄協会のご厚意で拝見する機会があった

▼原型は、沖縄を代表する芸術家、故山田真山さん(享年92)が1957年から18年かけて琉球しっくいで制作。体調を崩した山田さんに代わって息子や弟子らが型を取り、完成させた像が沖縄平和祈念堂に納められた

▼72歳の高齢をおして制作に取り掛かったのは、沖縄戦を体験し、息子2人の命を奪った戦争を二度と繰り返してはいけないとの平和への執念だった

▼戦前、県外で作った銅像が武器の材料にされた反省から琉球漆で作ることにこだわった原型は、完成から45年が経過。ひび割れなど劣化が進む

▼大家による歴史ある芸術作品を修復し、展示しようとの計画が進められている。原型が各地からの寄付で制作されたことにならい、市はふるさと納税制度を活用したクラウドファンディングで寄付を募っている。「普天間」の代名詞が米軍飛行場ではなく「平和祈念像のある街」となる日が一日も早く来ることを願う。(石川亮太)