名護岳の中腹、標高約150メートルの展望台。木々のざわめきの中、ふもとから自転車で登る。じわじわときつくなる勾配に音を上げそうになりながら、たどり着いた先に絶景が待っていた

▼名護の市街地を一望し、かなたに名護湾が広がる。ここから眺める夕日は格別である。「街、海、緑を見渡せる大好きな景色です」と話すのはデザイナーの津波古紫(ゆかり)さん(38)だ。描いたその夕暮れの景色がビールのラベルになった

▼名護十字路商店連合会など、地元有志によるプロジェクトの第2弾となった「75Beer-IPA」。工場のある名護ならではの地域活性化の取り組み

▼コクのある苦みと共に際立つ酸味は勝山のシークヮーサー果汁という。オリオンビール製造部長の儀間敦夫さん(53)によると、個性豊かな5種類のホップをまとめる決め手になった

▼ドイツには「ビールは醸造所の煙突が見える所で飲め」という古諺(こげん)がある。遠くまで運ぶと風味が保てなかった時代の話だが、その土地の空気や自然を味わってこそだとも言える

▼4年前の「ビールの街宣言」から始まったプロジェクト。グラスを傾け、名護の町並みや夕暮れに思いをはせる。懐かしさで、また行きたい、また飲みたいと人々が集う。そんな街のにぎわいを見られる日がやがて来るかもしれない。(粟国雄一郎)