昨年の慰霊の日は、30年ぶりの雨が話題になった。梅雨が明けた今年も、午前中は雷がとどろく豪雨。ただ、お天道様の配慮か、お昼の式典までにぴたりとやんだ

▼昨年5100人が参列した、沖縄全戦没者追悼式。今年は新型コロナウイルスの感染防止で、招待者のみ161人の式だった。会場を仕切るロープの周りに集まった一般の参列者から「できれば中に入りたい」との声も

▼そのうちの一人、川越弘さん(74)=西原町=の理由が興味深かった。「きょうは安倍晋三首相がいないから」。ここ数年の式典では、辺野古の新基地建設を進める安倍首相へのやじが繰り返されていた

▼その首相は、参加しない代わりにビデオメッセージを寄せた。「基地負担の軽減に向け」「できることは全て行う」。どの年も内容がほぼ代わり映えしない

▼ロープ越しに聞いた平野美佳子さん(55)=埼玉県=は「基地建設を止めないから説得力がないのでは」。首相に沖縄の現場を見てほしい気持ちと、慰霊の場にいるのがふさわしくない気持ちが、半々だと漏らした

▼6月23日は、改定日米安保条約の発効日。米国が日本を守る義務を負う安保条約は、沖縄の犠牲の上に成り立っている。日本という国家が自省すべき日でもある。式典の間だけ我慢していたのだろうか。雨は終了後、再び激しく降り出した。(吉田央)